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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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梅雨明け・・・

今年も、また、すさまじい豪雨が各地を蹂躙しました。加えて、陰々と続く新型コロナウイルスの広がりもあって、何ともすっきりしない日々が続いています。

九州、そして甲信越各地の被災者の方々にお見舞い申し上げます。

私自身、2017年北九州豪雨で、お借りしていた山家の古い民家が床上すれすれの泥水被災にあっていますので、後始末の大変さについては身をもって経験しています。持ち出した家財具から、3年後の今も、固まった泥がポロリとこぼれ落ちることがあります。

また、お亡くなりになられた方々、こころからお悔やみを申し上げます。

人は・・・生物は必ず死にます。けど、いつどのように最期を迎えるかは、大いに異なります。災害で不意に襲われる死への恐怖、そして、恐らくは、年齢の多寡にかかわらず、言葉にならない無念さを思うと、お悔みではすまないような気もします。さりとてどうすれば・・・

7月上旬が豪雨の時期、と確立してはいけないのですが、ここ数年は、そんな感じさえします。

私が記憶している子どもの頃の梅雨は、絹糸のような細い雨が、降るともなく降り、やむともなく続きました。時には、ちょっとした豪雨はありました。祖父や地域の長老らが、昔ながらの民芸品的雨具をつけて、夜半、田んぼの水回りの点検に出かけ、家族はまんじりともせず、その帰りを待っていたようでした。

シトシト雨は鬱陶しい・・・ものでしたが、数週間後には、本物の夏と夏休みが待っている、と子ども心に期待がありました。思い出すことは、梅雨の最後の数日です。必ず、ガラガラ!!ドッカンと巨大な落雷があって、ピタッと雨が上がる、そしていっせいに、油蝉が声をあげる・・・梅雨が終わった!夏だ、夏だ、と。それが梅雨明けでした。翌日から、日中はカンカン照り、青空、ウルサイほどの蝉の声、田んぼではカエルが合唱、まもなく夏休み・・・宿題は、梅雨と同じくらい鬱陶しいですが、一日24時間まるごと自分の時間、と思えたのでした。

思えば、郷里宝塚は、けっこうな農村地区であり、自然を十二分以上に満喫出来ました。もっともっと昔、つまり小学校に入った頃には、神仏混交で有名な火の神様、真言三宝宗大本山清荒神清澄寺<キヨシコウジン セイチョウジ>の近くを流れる小さな清流で、裸で水浴びもしました。これは、見つかると叱られる類の遊びでしたが、しっかり遊んで、濡れた髪の毛が乾いてから、何食わぬ顔して帰る・・・という子どもの悪智慧もありました。しかし、誰かが、ポロリと漏らしたことで、その親からの通報があると、すべての子どもは、一斉に叱られました・・・白壁の蔵に入れられたり。今は、こんなことも子どもの虐待なのでしょうか?

序でながら、宇多天皇の御代、896(寛平8)年に、勅願「寺」として建立されたこのお寺には鳥居があります。エッ?お寺に鳥居なのです。つまり神仏混交、お寺でもあり神社でもあるので、一般には、「コウジンさん」と人の名前のように呼んでいます。お寺としての本尊は大日如来で、鎮守社としては三宝荒神をお祭りしていますが、この神様は竃<カマド>の神さまである荒神<コウジン>なので、「清荒【神】清澄【寺】」なのです。また、ここには、明治、大正時代の文人画家富岡鉄斎の作品を集めた美術館があります。見応えがありますし、近隣の旧家には、鉄斎さんの書き損じを頂いたお宅も少なからずありました。

脱線しました。

地球の歴史から云えば、瞬き<マバタキ>にもならないほどの期間に過ぎない数十年の間に、日本の梅雨の時期の雨の降り方が激変したのでしょうか。毎年のように、「百年に一度」と表現される局地豪雨です。何故、激変したか・・・異常気象、地球温暖化という言葉や事象が浮かびます。

アフリカ大陸とインド大陸の間にある大きな海がインド洋ですが、その北部、アラビア半島とインド大陸の間のあたりはアラビア海とよばれます。ここには、インド大陸を横断したインダス川が開けていますが、オマーン湾、ホルムズ海峡、ペルシャ湾、アデン湾、紅海など、わが国にも重要な海路があります。そして、しばしば海賊が出る・・・海域でもあり、数年前から、日本の海上自衛隊も多国籍活動に参画しています。

そのアラビア海あたりで、毎年6月頃からは南西風が、10月以降には北東の風が吹く・・・決まって吹くので、それを季節風モンスーンとよんでいます。モンスーンとは、毎年同じ季節に行う行事を示すアラビア語と聞きましたが、自然が起こす風も行事としたのか、その昔は、風の吹く折に始まる帆船の航海が行事だったのでしょうか。

それが、ある時期に始まる雨や風を示すようになり、アラビア海からははるかに離れた東南アジアでも、モンスーン雨季などとよばれるようになったのでしょう。私自身は、中東と呼ばれる地域では、アフガニスタン、ヨルダン、トルコそしてイスラエル、また、アフガニスタンの隣の南西アジアではパキスタンやインド、ミャンマー、さらに東南アジアのタイ、ラオスなどで、モンスーン豪雨を経験しましたが、まあ、すさまじいものでした。それが、今、日本に来た・・・のでしょうか?

2020年6月12日、沖縄県では梅雨明けが発表されています。1951年の統計開始以降7番目の早さ、去年と比べても28日も早い梅雨明けだったそうです。その北にある奄美では、やっと7月20日に梅雨明けが宣言されましたが、去年よりは7日遅く、平年と比べて、なんと21日も遅い梅雨明け宣言だったと。

豪雨禍の地域、そして北海道を除く梅雨地帯では、もちろん、農作業のための雨水は大事ですが、過ぎたるは及ばざるが如し、もう明けて欲しいですね。