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最近の新型コロナの話題あれこれ

1.新型コロナウイルス再感染 New York Times 20200824

はしかは、一度罹ったら、体内に抗体と云うウイルスをやっつける抵抗力が出来るので、二度目の発病はありません。それを終生免疫と云います。また、集団の中で、一定数の人々が、あるウイルスに対しての終生免疫を獲得すると、その感染症は広がりません。これを集団免疫と申します。

新型コロナウイルスでは、終生免疫のもとになる抗体が出来にくい、あるいは出来てもすぐに力がなくなるとか、したがって、また、同じウイルスに感染する=再感染があるのではと云われていました。8月24日のNew York Timesに、以下のように、香港の33歳の男性が、二度目の感染が証明された論文がでるとありました。その後、さらにもう二人の再感染した人々の報告も出ていますが、何とも、厄介なウイルスですね。

【論文化されていない報告は散見されるが、初めてきちんと文書化されたSARS-CoV-2再感染の例がJr. Clinical Infectious Diseasesに掲載される予定だという。それによると、感染者は香港在住の33歳男性、3月末にCOVID-19と診断されたが軽症で、4月中旬に検査2回陰性となって回復したが、SARS-CoV-2抗体は検出されていない。8月中旬、スペイン旅行後、英国空港で唾液検査を受けて陽性が判明、症状はない。報道では、3月の1回目と今回のウイルス遺伝子配列が異なっていることから再感染とされた。新たな検査陽性は、以前の感染ウイルスの長期間存在と排出でなく、新たに感染した新しいウイルスだとしている。第2回感染後にSARS-CoV-2抗体が検出された。】

2.子どもの新型コロナウイルス感染

アメリカでは感染数が多いこともあって、学校再開に関して子どもの感染や症状についての調査が出ています。まず、新型コロナ感染者の中で子どもが占める割合は10%以下で、有り難いことにほとんど重症化はしないとの報告、さらに、そもそも全子どもの中での有病率が極めて低い・・・感染している子どもはほとんどいないとの報告や、さらに子どもからの二次感染もとても少ないとの報告が出ています。

2-1.子どもでは重症化はほぼない アメリカ小児科学会と小児病院連合の報告 20200820

【米小児科学会と小児病院連合は、8月20日発出の報告で、アメリカでは、COVID-19全症例中に占める子どもの割合は9.3%(442,000人)、人口10万人あたり583人だが、深刻な症例はほとんどないとした。8月第2、3週に74,160人の新たな子どもの例があり、子どもの例が21%も増加したが、入院や死亡は稀としている。全米の入院者中、子どもは0.4~4.6%、子どもの全感染者の0.2~8.6%が入院、また、子どもの死亡も極めて稀、全死亡中0~0.7%としている。】

2-2.子どもは無症状が多い JAMA Pediatrics online 20200825

【米小児耳鼻咽喉科誌医らが6週間、28病院で、新型コロナウイルスの子どもの感染を調査した結果を報告。新型コロナ感染を疑わせる症状のない年齢0〜18歳の子ども33,041人の内250人が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性だった。米カ全土25地区にわたる調査での有病率が0~2.2%で、これは他調査の平均有病率0.65%とも類似しているとしている。】

2-3.子どもから二次感染は少ない NEJM JW Pediatrics and Adolescent Medicine 20200716

【学校や子どもセンターの再開には、子どもの感染の実態が必要だとして、米ロードアイランド州公衆保健局が、子どもセンター再開後の経過をフォローし、子どもからの二次感染状態を評価した。その6、7月の報告では、約19,000人が通う666施設で52人の感染(33確認、19人は疑い)が見つかり、その58%は子ども(42%は大人=22人は先生、2人が親)で、29センターで発生した。内20センターでの二次感染はなかった。二次感染と思われた4センター(17人感染)は閉鎖された。以上から、子ども間の二次感染は極めて少数と思われるが、マスクなどの予防は大事と示唆された。】

3.遷延する症状:COVID-19入院患者では、症状が数カ月続くこともある 20200825

フランスから、新型コロナで入院した人々には、症状改善し退院した後も、長く息切れ、咳、下痢、筋肉痛、時に精神的混乱などの症状が続き、特に女性で脱毛を訴える人が多いとの報告が出ました。

【8月24日発行の、Journal of Infection誌の編集者宛て研究レター欄に投稿された情報。COVID-19の入院患者は、退院後平均111日間にもわたって疲労、息切れ症状が持続したと報告。著者らは、2020年3月15日~4月14日の間、パリ大学付属ボジョン病院入院のCOVID-19患者で、一般病棟入院の96人、ICU入院の24人計120人に電話聞き取りインタビューをした。参加者の年齢中央値は63歳、62.5%は男性。46.7%は高血圧、21.7%は糖尿病を持っていた。入院時の主要症状は、息切れ(73.3%)、咳(72.5%)、下痢(24.2%)、筋肉痛(15.8%)、精神的混乱(5.8%)。入院期間中央値は11日。その後、疲労55%、息切れ42%他、記憶喪失34%、集中力欠如27%、睡眠障害31%。 また、患者24人(20%)で脱毛が著しく、うち20人が女性。一般病棟とICUの間で統計的有意差はなかった。更に、健康関連の生活の質では、ICU患者の方がわずかに健康関連の生活の質(HRQoL)における自己評価EQ-5D-5Lサブテストを継続中と報告したが、他に大差はない。また、入院患者の47%は感染前に就業しており、その69%はインタビュー時(退院後)には仕事に復帰し、病棟とICU患者で差はなかった。入院前、何らかのスポーツを行っていた39人の内の72%は再開していたが、その46%の人々は、運動量が減ったと回答。】

4.コロナ死の性差、年齢により大きな違い The Lancet 20200820

おなじウイルス感染症なのに男女間で死亡する率(致死率)が著しく異なることが判りました・・・と云っても、では、どうするかですが、何故??でしょうか。

【2020年08月25日 05:05  英・Newcastle UniversityのSunil S. Bhopalらが、9カ国4億人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患と死亡関連データを収集し、その死亡リスクの男女比を年齢層別に検討した結果、COVID-19死の性差は年齢によって大きく異なり、男性の致死率は女性の2倍となった。新型コロナウイスによるCOVID-19罹患数には男女差はないとされるが、致死率(繰り返しますが、死亡率ではなく、ある疾患にかかった人の中の死者の数が致死率)は、男性は女性の約2倍になる!!要因はライフスタイルの差や染色体の違いも挙げられている。報告者らは、今回、フランス国立人口統計学研究所が英(イングランド、ウェールズ)、仏、独、伊、蘭、葡、西、韓各国から収集したデータを用いてCOVID-19死亡リスクの男女比を年齢層別に検討、期間は、パンデミック宣言発出後の2020年3月11日~6月21日、対象は、男性1億9,434万9,591人、女性2億171万5,364人。この間の死亡は男性77,652人、女性59,591人。男女比は全年齢で1.35、40~49歳における男女比は1.87、50~59歳では2.31で、60歳代で2.56、10歳未満の小児で0.81と、年齢層によって異なる。これからの結論は、致死率の男女差は、COVID-19死のリスクが性と年齢によって変化すると考えるのが妥当、他の危険因子に加え、性や年齢の相互作用を考慮してCOVID-19死亡リスクを評価すべきとしている。】

5.ソーシャル・ディスタンス・・・距離の解釈 2mか1mか 20200825

【Brit. Med. Jr.の8月25日号の記事。「SARS-CoV-2の感染予防のための、いわゆるソーシャル・ディスタンス=個人間の物理的距離を1mとか2mとかというのは、前世紀の呼気中の小液滴の大小2種の大きさに基ずく古い考え」と批判、実際、液滴サイズは多様な上、呼気や周囲空気の流れ、方向により液滴の広がり方は変わるとする。一部研究では、特定サイズの液滴は6〜8mも広がるし、他のリスク要因も考慮し、とるべき距離を決めるべきとする。例えば、人々がマスクをせず、換気が悪い混雑した屋内なら、最低でも2m以上の間隔が必要など、さまざまな状況下のリスク格付けグラフを提示している。】