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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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十日の菊

さしもの猛暑も、ちょっと和らぎました。やはり、台風一過でしょうか。そう云えば、立秋(今年は8月7日)から、もう1ヶ月以上が経ち、そして暦を見ると今日は何と二百十日です。昔は、この頃には台風が多いと、大してエビデンス(証拠)はないまま信じていたように思います。

陰暦では菊のシーズンであることから、9月9日を、重陽の節句または菊の節句とも申します。ちなみに、立春に近い3月3日は上巳の節句であり、お花は桃・・・桃の節句です。その桃の実は、8月から今頃が賞味するベストシーズンですね。

で、9と9が重なるとそれが何?ですが、中国のいわゆる陰陽思想(宇宙の事象、神羅万象すべからく陰と陽に分類できるという考え)によりますと、陽の数である奇数の中で最大数九が重なる<めでたい>日なのです。その昔、奇数が重なる月日は、常に陽の気が強すぎ、そんな時には悪いことが起こりやすく不吉として、それをうち払う行事が節句なのでした。九は一桁数の最大の陽だから、九九は特に悪事のリスク大なる節句なので、しっかり、大げさにあつかわれたという次第。いつしか、九と九はおめでたいとされるようになっていますが、まぁ、その昔は、とにかく、リスクを小さくするためには、邪気を追っ払い、壮健長寿を願って、シーズンの花である菊を飾り、酒杯に菊の花びらを浮かべ、にぎにぎしく祝ったというか、邪気払いをしたのでしょう。さらに、優雅な行事ですが、前夜、菊の花に綿<ワタ>を置いておき、露に濡れたら、それで身体をぬぐったそうです。ソンナニ大量の露が!!ですね。日本では、お刺身のつまの横についている菊の花、そして菊の葉っぱの天ぷら・・・どちらも食用です。

元祖中国では、2012年の第11回全人代で、旧暦9月9日が「高齢者の日」になっています。

ところで、9月9日にお祝に菊を持ってゆくのは時宜にかなったことですが、10日、菊を持参するとか、あるいは、9月9日に咲かせようと努力したのに、9月10日に花が咲く・・・などを「十日の菊」と申します。つまり、9月9日の菊の節句に間にあわなかった菊の花は、時宜を得ず、役立たないことを申します。同様の言葉に5月5日に遅れた「六日の菖蒲」・・・もあります。

台風のあと、少し、秋らしくなった空、熱燗で菊の花びらを浮かべて・・・