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ホスピスドクター研修ネットワーク第12回情報交換会開催報告

当財団では、「ホスピス緩和ケアドクター研修」修了者と、研修受け入れ施設の指導医師を対象とした「ホスピスドクター研修ネットワーク」情報交換会を年1回実施しています。12回目を迎える今回は趣向を変え、施設見学を兼ね、日本財団ビルを離れ桜町病院 聖ヨハネホスピスで開催しました。

まず今年度ホスピスドクター研修中の3名による研修経過報告、続いて、「これからの緩和ケア病棟・在宅診療におけるホスピス緩和ケアのかたち」と題し、在宅、病棟とそれぞれの立場におられる3名の先生よりご講演をいただきました。

相河明規先生

 「緩和ケア病棟から在宅診療に移ってみえてきたもの」

自身が考える「ホスピス緩和ケア」を求め、病棟から在宅へ移った相河明規先生(ケアタウン小平クリニック/ネットワーク世話人)からは、在宅診療で使用する鎮痛薬の量が病棟よりも少ないことや、自宅で最期を迎えるために必要なこととして、医師と患者・家族の関係性を指摘、コミュニケーションの重要性、医療者として最後まで支えることの重要性をお話しいただきました。

「在宅診療から緩和ケア病棟に移ってみえてきたもの」

昨年度のホスピスドクター研修生だった桶口史篤先生(富山市立富山市民病院/ネットワークメンバー)からは、病棟の利点として医師や看護師による継続的なケアは、患者や

桶口史篤先生

家族だけでなく、医療従事者の安心につながっていることが示されました。病棟、在宅のどちらがいいとかではなく、患者にとって多くの選択肢があることが大切であると力説されました。

「緩和ケア病棟における適切な療養場所の支援と地域連携のために作成した退院支援チェックリストの使用報告」

佐野広美先生(医療法人財団慈生会 野村病院 緩和ケア内科)からは、入院後の積極的な在宅復帰支援を行う中、患者・家族への精神的ケアや地域連携強化の必要から導入された退院支援チェックリストの使用報告が

ありました。病院と在宅の気心知れた連携が、患者に

佐野広美先生

「病院にいつでも入れる」という安心感を提供でき、最期まで自宅で過ごすことができること、病棟が地域の一員であることをお話しいただきました。

続くディスカッションでは、全員が輪になり顔を合わせながら活発な意見交換を行い、緩和ケア病棟・在宅診療それぞれ共通するもの、異なるものを確認すると同時に、様々な環境がある中で、患者が選択できることの重要性、また患者が主体であることを再認識しました。

今回は初の試みで、これまでも多くの要望があった施設見学が実現しました。すばらしい環境のもとで療養されている方々の生活を拝見できたことは大変勉強になったとの感想が寄せられました。

 
 
グループディスカッションの様子
聖ヨハネホスピスの居室
 
参加者全員で記念撮影