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91号 大使メッセージ: 島嶼国とハンセン病

 

7月20日から23日までアフリカにあるコモロ連合を訪問した。この国はマダガスカルとモザンビークに挟まれた海域に3つの島よりなる国である。特にアンジュアン島はハンセン病患者が多い。有病率は9%を超え、特に子供の患者の比率はおよそ4割にもなるという驚くべき数字がある。WHOを通じて現地保健省が対策を進めてきたが、人口が100万人に満たないため、WHOが定める「制圧」の定義に該当せず、世界の制圧活動から取り残された感がある。私が2015年に訪問した太平洋のキリバスを始め、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦も同様である。世界には人口100万人未満の島嶼国は国連加盟国で38カ国、非加盟国は20カ国と58カ国も存在する。

島嶼国は、いくつかの特殊な要因を抱えている。第一に国土が小さく人口が少ない。第二に国土が海上に拡散している国もある。第三に海に囲まれ大きな市場から遠く離れ隔絶されている。これらは対策の初期コストが嵩む原因であり、政府に十分な資金がないことも相まって適切な人材配置、対策の実施を困難にしている。更にハンセン病の保健医療政策上の優先順位の低さが対策の遅れに拍車をかけている。

ただ、これらの要因は制約ともなり得るが、逆に対策活動という観点からは利点として捉えることも出来る。例えば規模の小ささという点は、多くの人口を抱える有病率の高い国に対するほどの規模の支援ではなくても目に見える効果が見込める可能性がある。

このような国々は、WHO世界ハンセン病プログラム(GLP)への支援の枠組みでも優先順位がさほど高く設定されていない。世界制圧に向けてブラジルの達成を待つまさに今こそ、このような島嶼国に対し集中的な支援を行い、問題解決を視野に入れるべき時期に来ているのではないだろうか。島嶼国で病と闘う患者を我々は忘れてはならない。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平

91号PDF

 

MESSAGE: Small Island States and Leprosy(島嶼国とハンセン病)

PUBLICATION: Tapping the Wisdom of the People

AMBASSADOR’S JOURNAL: A Journey to the Comoros Islands

FIELD OF DREAMS

UNWAVERING OPTIMIST

MAN ON A MISSION

NEWS: Reshaping the Law

FROM THE EDITOR: POLITICIANS TAKE NOTE