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81号 大使メッセージ:宗教者の役割に期待する

WHOのハンセン病制圧大使として私は、ハンセン病は治る病気である、薬は無料で手に入る、差別は許されない、の3つのシンプルメッセージを世界中の人々に伝え、ハンセン病についての正しい知識をもってもらうことにまい進してきた。

2006年から始めたハンセン病の患者、回復者そしてその家族に対するスティグマと差別をなくすことを世界中に訴える「グローバルアピール」も、ノーベル平和賞受賞者、宗教の代表、世界医師会、国際法曹教会、国際看護師協会など世界的な影響力をもつ有力者、有力団体からの協力を得て発表してきた。

中でも私はハンセン病について知ってもらうには、人々の生活に密着している宗教が最大級の役割を果たしてくれると確信している。そして実際ダミアン神父やマザーテレサのように宗教者はハンセン病の患者に対して深い慈愛の心をもって接してきた歴史がある。

私の父笹川良一は1983年にローマ教皇庁に招かれ、時の教皇ヨハネ・パウロ2世に謁見し、ハンセン病をこの世界からなくすると約束をした。私もその謁見に同席した。そのときの記憶が鮮明に残っている。そしてヨハネ・パウロ2世教皇には、私は2002年にも謁見の機会をいただき、ハンセン病の実態を説明させていただいた。

そしてこのたび、私の呼びかけに答えてローマ教皇庁保健従事者評議会が日本財団との共催でハンセン病に関する国際会議をバチカン市国で6月に実施した。この2日間の会議には45ヶ国からハンセン病の回復者、人権問題の専門家、NGOの代表、WHOなど国際機関の代表、それにキリスト教をはじめ、各宗教界からの代表の出席を得た。ハンセン病をテーマとする会議としては前例のない画期的な会議となった。

そして、参加者の総意を得て差別をなくすことを強くよびかける「結論と勧告」(別掲)が発出された。この「結論と勧告」が、世界中のカトリック信徒12億人に伝達されることは私の望外の喜びである。

今後は諸宗教界が同様にハンセン病の問題を人類社会にいまだ存在する未解決の重要な問題と位置づけ、病気と差別をなくすために人々に正しい知識と理解をもってもらえるよう、ご協力をいただきたいものだ。

WHOハンセン病制圧大使 笹川 陽平

81号PDF

MESSAGE: Religion’s Reach(宗教者の役割に期待する)

SYMPOSIUM: An Interfaith Call to Action

Conclusions and Recommendations

MEET THE MAIN ACTORS

AMBASSADOR’S JOURNAL: In the Forests of Cameroon

NEWS: P&G Progress Report

FROM THE EDITORS: A HOPED-FOR OUTCOME