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「教育」で変える未来 グローバルアピール2026 ― ハンセン病回復者への偏見と差別の終結を目指して ― 開催に先立ちベルギー王室謁見

笹川ハンセン病イニシアチブは、ハンセン病回復者に対する偏見と差別の終結を目指す国際キャンペーン「グローバルアピール2026」を、2026年1月29日にベルギー・ブリュッセルで開催しました。本イベントは、世界の教員および教育関係者を代表する国際組織 教育インターナショナルとの共催、ダミアン財団とのパートナーシップのもと実施されました。

今年は、教育の持つ変革の力に焦点を当て、神話や誤解を解き、偏見を減らし、包摂を促進するうえで教育が果たす役割の重要性が強調されました。式典および2つの特別セミナーには、ハンセン病回復者、教育関係者、政策立案者、医療専門家、国際NGO関係者ら約80名が参加。「尊厳」「包摂」「誰一人取り残さない」という理念のもと、共通のコミットメントを再確認しました。

式典に先立ち、インド、インドネシア、ブラジルからのハンセン病回復者を含む代表団が、ブリュッセル王宮にてマチルダ王妃の謁見を賜りました。式典では、ダミアン財団 前会長ジャン=ピエール・バロン・シェンクラール氏が王妃のメッセージを代読。王妃は次のように述べられました。「尊厳、包摂、そしてハンセン病に関連する偏見をなくす取り組みを軸に主要な関係者を結集させる『グローバルアピール2026』を心より歓迎いたします。本アピールは健康、教育、平等を力強く結びつけ、『誰一人取り残さない』というSDGsの精神を体現しています。偏見や差別のない世界の実現は、私たちすべての責任です。」

ブラジル、インド、インドネシアからのハンセン病当事者代表団が、他の関係者とともに、ベルギーのマチルド王妃陛下との円卓会議に参加 © Palais Royal/Koninklijk Paleis – Loan Silvestre

教育インターナショナル会長ムグウェナ・マルレケ博士は、世界3,300万人を超える教員・教育支援職員を代表し、包摂的教育の推進と人権尊重を通じて、あらゆる偏見と差別の撤廃に取り組む決意を表明しました。同組織副会長であり日本教職員組合中央執行委員長の梶原貴氏は、教育が持つ力について強調しました。「教育は子どもたちが目に見えない脅威を正しく理解し、偏見を打ち破り、いかなる差別も決して許さない姿勢を身につけるための重要な基盤である」と述べ、教員と教育現場の果たす役割の重要性を力強く訴えました。

さらに、UNESCO教育担当事務局次長ステファニア・ジャニーニ氏は、教育が尊厳と平等、社会正義を推進する最も強力な手段の一つであるとし、「教員が支援され力を与えられるとき、教育は誤情報に立ち向かい、包摂と連帯を促進する変革の力となる」と述べました。国連特別報告者ベアトリス・ミランダ博士もビデオメッセージを寄せ、差別撤廃は正義と人権、社会的包摂を実現するうえで不可欠であると強調しました。

第3回世界ハンセン病当事者団体グローバル・フォーラム オーバーサイトコミッティ議長のマゲット・ンディアイ氏は、ハンセン病当事者を代表して発言しました。「ハンセン病は治る病気です。しかし、当事者は今も偏見と差別に苦しんでいます。ハンセン病はその人を定義するものではありません」と訴え、正確な情報に基づく理解の促進、差別の撤廃、人権の保護、そして包摂的社会の実現に向けた共同の取り組みを強く呼びかけました。

ダミアン財団のゼネラルマネージャーであるパスカル・バルニック氏は、「ハンセン病の制圧は手の届くところまで来ています」と強調しました。「その達成のためには、診断精度の向上や保健体制の強化、貧困削減プログラムの推進、偏見や誤解の克服に向けた研究と啓発を支え続ける必要があります。教育こそが鍵です。それは排除を助長することもあれば、違いを力とし、より公正な世界を築く礎とすることもできます。」

世界保健機関(WHO)ハンセン病制圧大使の笹川陽平氏は、長年のフィールド訪問経験を踏まえ、教育とそこから生まれる意識の重要性を強調しました。「ハンセン病当事者の子どもが、障壁なく学校に通えるようにすること、そして地域社会・教師・生徒たちが正しい知識を持って偏見を解消することが不可欠です。教育は、貧困と差別の連鎖を断ち切る鍵であり、人々を力づけ、包摂的な社会を築く原動力です」と述べました。

式典の最後には、インド出身のハンセン病回復者ビムラ・クジョール氏とマルレケ博士が共同で、「グローバルアピール2026」宣言を朗読しました。宣言は、教育が偏見と差別の連鎖を断ち切り、知識と共感を育み、包摂を促進し、教師と生徒が人権を守る力を得るための重要な役割を担っていることを強調しています。

ハンセン病回復者を代表するビムラ・クジュル氏が、教育分野の代表であるムグウェナ・マルレケ博士とともに、グローバル・アピール2026宣言を朗読しました。

式典に続き、2つの特別セミナーが開催されました。特別セミナー1「現場からの視点」では、笹川ハンセン病イニシアチブの南里隆宏氏が進行役を務め、世界におけるハンセン病の最新状況についての報告が行われるとともに、ハンセン病蔓延国の教員組合員とハンセン病当事者との対話が実施されました。現場の声を通じて、教育が果たし得る役割と課題が共有されました。

続く特別セミナー2「教育の力でハンセン病に関連する偏見と差別をなくす」では、教育インターナショナル事務総長のデイビッド・エドワーズ氏が進行役を務め、UNESCO、ダミアン財団、VVOB(教育開発支援機関)、そしてブラジルのハンセン病当事者を含む多様な関係者が参加し、教育を通じて偏見と差別をいかに克服するかについて活発な対話が行われました。教育の変革力と国際的連携の重要性が改めて確認される機会となりました。

閉会の挨拶では、南里氏が登壇し、教育の中心的な役割を改めて強調してイベントを締めくくりました。同氏は、「今日、私たちは一つのことを確認しました。それは“教育こそが鍵”であるということです。差別をなくし、ハンセン病に関する正しい情報を広めるためには、教育が持つ変革の力を活かさなければなりません。今日がゴールではなく、差別を完全になくすための出発点なのです」と述べ、本イベントが終着点ではなく、偏見と差別のない社会を実現するための新たな一歩であることを力強く示して、閉幕しました。