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76号 大使メッセージ:ハンセン病の記憶をユネスコ記憶遺産に

ライフワークであるハンセン病制圧活動で訪れた世界のハンセン病病院や療養所の多くが前世紀の遺物となりつつある。

ハンセン病は1980年代に治療法が確立されるまでは、「強い感染力を持つ不治の病」として恐れられ、人々を隔離することが最も優れた防御策とされてきた。世界中の国々が患者を病院や療養所に収容し社会から隔離してきた。

患者たちは何も罪もないのに何十年も隔離生活を余儀なくされ、隔離から解放されても元患者として、その家族も含め、スティグマが消えずに残った。WHO(世界保健機関)がハンセン病制圧の目安とする「人口1万人当たり患者1人未満」の未達成国はブラジル1ヵ国を残すだけとなったが、深刻な偏見・差別は現在も世界中至るところに根深く存在する。

ハンセン病の差別は過去の歴史ではなく、今を生きるわれわれ自身の歴史であり、偏見・差別をなくすためにも後世に伝えられなくてはならない。

1992年にユネスコ(UNESCO、国際連合教育科学文化機関)が始めた世界記憶遺産事業がある。後世に伝える価値がある文書や記録を残し、記憶が失われるのを防ぐのが狙いで、ハンセン病こそ、まさに世界の記憶遺産に登録されるべきと考える。

ハンセン病患者や家族は差別の苦しみに耐え、果敢に戦って尊厳を取り戻した。その記録は人類が後世に残すべき記憶遺産に相当する。

ハンセン病はやがて人類にとって「過去の病気」となる日が来るかもしれないが、「差別の原点」、「人類の負の遺産」として世代、時代を超えて語り継がれなければならない。

「負の歴史」の中にこそ、その時代を生きた人間の強さ、美しさを学ぶことができると思う。そのためにも記憶遺産への登録を世界の賛同を得て早期に実現したく考える。

WHOハンセン病制圧大使 笹川 陽平

76号PDF

MESSAGE: UNESCO Memory of the World(ハンセン病の記憶をユネスコ記憶遺産に)

REPORT: Leprosy by the Numbers

HUMAN STORY: Sisters United

COLUMN: A First Visit to Sorokdo

BOOK: Safeguarding the Past

MUSEUM PIECE: WOODEN HOT SPRING PIPES

AMBASSADOR’S JOURNAL: Life on the Margins

NEWS: Sasakawa Addresses JCI Congress

FROM THE EDITORS: TEARS AND JOY