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【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター110号】大使メッセージ: “Don’t Forget Leprosy” キャンペーン、世界各地で展開中

2022年8月3日、5合目から登頂を開始、翌4日午前4時42分日本最高峰の富士山(3,776m) 山頂に到達したWHOハンセン病制圧大使の笹川陽平氏。山頂から「ハンセン病を忘れないで」というメッセージを発信。笹川氏は今年83歳
2022年5月15日、世界最高峰のエベレスト(8,848.86m)山頂で「ハンセン病を忘れないで」のポスターを手にするギネス世界記録保持者でネパール登山協会(NMA)理事のミンマ・デヴィッド・シェルパ氏

今年5月にネパールにいる私の友人がエベレストに登頂する計画があると聞き、頂上で”Don’t forget leprosy”というメッセージを掲げた写真を撮ってもらうことを思いついた。そして、先のWHO総会において、WHOテドロス事務局長や各国の保健大臣にお会いした際に、その写真を示したうえで、ハンセン病ゼロにむけての協力を要請した。幸いにも多くの反響を得ることができた。

しかし、「知行合一」をモットーとする私にとって、単に他人にお願いするだけでよいのか考えてみた。83歳の私がエベレストに登頂することにはいささか無理があるが、せめて、日本で一番高い富士山に登頂し、このDon’t forget leprosyのメッセージを掲げてはどうかと思いついた。思い立ったら吉日、私はその後、すぐにトレーニングを開始し、8月4日に富士登頂をした。

世界からハンセン病をなくすことは、私のライフワークである。病気としてのハンセン病の制圧と、患者・回復者・その家族らに対する差別撤廃を実現するために、過去半世紀の間、私は世界120カ国以上を回ってきた。しかしハンセン病問題を解決するために、あと一押しというところで、コロナウィルスのパンデミックに直面した。その結果、各国でのハンセン病対策は後退し、当事者に対する差別も依然各地で根強く残っている。

だからこそ、83歳の「青年」である私が、富士山の頂に立ち、”Don’t forget leprosy”というメッセージを掲げることで、世界中の人々が私と想いを共にし、一人でも多くの方々がこのキャンペーンに賛同してくれることを期待したい。

WHOハンセン病制圧大使
笹川陽平