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「スンゲイブローの子どもたち」完成

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乳児院にいられるのはわずか半年。この半年の間に、両親は子どもを預ける先を見つけなくてはなりません。
親戚に預けることができる数少ない夫婦は幸運でしたが、多くの子どもは国内外に養子に出され、親子の絆は断たれました。宗教も文化も言語も異なる家族に引き取られた兄弟姉妹。高齢化が進む入所者の最大の願いは、出生後間もなく連れ去られたわが子との再会。同時に、両親や兄弟を探し始めた第2世代もいます。
その一人にノラエニさんがいます。
ノラエニさんの養父は、スルタンの運転手。宮殿で過ごした少女時代は幸福なものでした。自分が養女であることは知っていましたが、養父母への配慮から、実の親の所在は探しませんでした。手掛かりが出てきたのは、養母の死の翌日。書類を整理していたところ、養子縁組の書類が出てきたのです。
そこに書かれていたのは、両親は華僑で、スンゲイブローの住人であるということでした。家族が全面的に応援をしてくれたおかげで、ノラエニさんの実の親捜しが始まりました。スンゲイブローの引き裂かれた親子の絆を取り戻すための活動をするイーニー・タンさんと出会ったのがこの頃です。療養所の記録、州で保管される誕生記録などさまざまな記録をたどった結果、自分には姉がいること、父親はすでに退所していること、母親は死亡していることが分かりました。姉と父親の所在は、いまも分かりません。しかし今も支えてくれる家族と、母の墓前に集まることができました。

ノラエニさんとタンさんは2年の歳月をかけて、書き上げた本が完成しました。
タンさんはこの本についてこう語ります。
「ハンセン病にかかっている人も少なくなりました。この本は、病気についての正しい知識を伝えることができると思います。恐ろしい病気ではない。遺伝もしない。簡単には感染しない。でも私たちは、親から引き離された第2世代に、まだ親を探す勇気のない第2世代に、こう伝えたいのです。『恐れないで。あなたは捨てられたのではない。隔離政策のために、引き離されてしまったけれどあなたのことを愛した親がいる。希望を持って生きてほしい。あなたは一人ではない』」
マレー語で書かれたこの本「スンゲイブローの子どもたち」の正式な発表が、スンゲイブロー療養所で2014年4月5日に行われます。