JP / EN

News 新着情報

ベルゲンのハンセン病の歴史に関する新ウェブサイト公開のお知らせ

世界のハンセン病の歴史において、ノルウェーの第2の都市ベルゲンは、1873年にゲルハール・アルマウェル・ハンセン博士がハンセン病の原因となる菌を発見した場所として知られています。また、19世紀後半には、ヨーロッパで最も多くのハンセン病患者が集まった都市でもありました。しかし、21世紀を迎えた今、ハンセン病がノルウェー西部の人々にどのような影響を与え、ベルゲンが革新的なハンセン病研究と公衆衛生の拠点であったことついて、多くの人々が忘れ去っています。そこでベルゲン市博物館は、笹川保健財団の支援を受け、ベルゲンにおけるハンセン病の歴史をオンラインで公開する新しいウェブサイトを制作し、2023年のハンセン博士によるらい菌発見150周年を記念する様々なイベントの一環として、公開されました。

ウェブサイトは、写真、文書、ビデオインタビュー、建物や展示物のインタラクティブな3Dモデルを通じて、「ベルゲンのハンセン病遺産」を包括的に紹介しています。現在、ノルウェー語のコンテンツが英語のコンテンツを上回っていますが、翻訳作業が進行中で、最終的には完全なバイリンガルのウェブサイトになる予定です。

ベルゲンに詳しい方は、すでに、かつてハンセン病患者が治療を受けていた聖ヨルゲン病院の建物が保存されており、それを利用したハンセン病に関する博物館があることをご存じかもしれません。この博物館では、実際に使われていた建物を見学しながら、ハンセン病に関する歴史を学ぶことができます。しかし、この博物館は、夏の間しか開館しておらず、300年も経つ古い建物でユニバーサルアクセスに対応していないため、全ての人が実際に訪れるには難しい場合があります。そのため、新しいウェブサイトでは、かつての病院や、展示物をバーチャルで見ることができるようになっています。

さらに、このウェブサイトでは、ベルゲンの3つのハンセン病病院(聖ヨルゲン病院、プレイエスティフテルセン病院、ルンゲゴル病院)の資料や、ハンセン病の専門医によって保管されていた文書が含まれる「ベルゲンのハンセン病アーカイブ」も紹介しています。資料の鮮明な画像と詳しい解説を通じて、これらの記録がなぜ人類の貴重な遺産として認められ、ユネスコの「世界の記憶」に登録されているのかを知ることができます。

ベルゲンでのハンセン病の歴史は、病気に対する科学的アプローチの大切さを示すと同時に、病気が社会的つながりや個々の人間の尊厳にどのように影響するかも考えなければならないことを教えてくれます。ベルゲン市博物館は、ハンセン病当事者とその家族に敬意を表し、この新しいウェブサイトを作りました。このウェブサイトを通じて、ベルゲンのハンセン病の歴史を伝え、今でも残るハンセン病に関する誤解を解消する手助けになればと願っています。

ウェブサイト

ベルゲン市博物館の新しいウェブサイト「Bergen’s Leprosy Heritage」では、ベルゲンのハンセン病に関する情報を紹介しています。写真や、3D映像を通して、19世紀後半におけるノルウェー西部の人々のハンセン病への対応についてご覧いただけます。。