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【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター123号】パートナーシップでハンセン病ゼロに向けた効果的なアクションを

セルフ・ヘルプ・グループのリーダーであるヤダヴ氏(右)と、WHOハンセン病制圧大使の笹川陽平氏(左)。ヤダヴ氏は、村民の健康状態を日頃からモニターしているスキルを活かし、笹川大使の血圧を測定している。

去る9月16日から23日に、10年ぶりにネパールを訪問した。カトマンズでは、パウデル大統領やオリ首相に面談し、コロナ渦で一時的に停滞したハンセン病対策を活性化させるようお願いした。その起爆材として、昨年バングラデッシュで実施したようなハンセン病全国会議を行うことを提案したところ、ご快諾いただいた。その後、ネパールで最もハンセン病の患者数が多いマデシ州を訪問した。ここでもシン州首相に面談し、ハンセン病対策に積極的に取り組むよう要請した。同州ではラルガ・ハンセン病病院を訪れたが、インド・ビハール州の国境近くに位置する同院では、インド人が患者の37%を占める。しかし、彼らは国籍の違いにこだわらず、すべての患者を平等に扱い、無償で治療していることに大変感銘を受けた。さらに私にとって、一つの希望となったのは、同院が設立・支援しているセルフ・ヘルプ・グループの存在である。彼らは、単なるハンセン病回復者の互助組織の枠を超え、患者の発見、障害ケア、ピア・カウンセリング、生計向上、啓発など、多岐に渡る分野で活動を展開している。そして、彼らが活発に活動する地域では、隠れた患者の数や差別・偏見が他地域に比べ、著しく少ないことを発見した。よって、今後私は、マデシ州をモデルとして、これらのセルフ・ヘルプ・グループへの支援を通じて、ハンセン病ゼロに取り組む決意を固めた。

最後に、今回のネパール訪問で、同国の山岳協会を訪問できたことは、私にとって大きな励みとなった。実は、私が富士山やキリマンジャロに登頂し、全世界にDon’t forget leprosyのメッセージを伝えるきっかけを作ってくれたのが、同協会のミンマさんがエベレストの山頂でこのメッセージを掲げてくれたことに端を発する。残念ながら同氏に直接会う機会を持つことは出来なかったが、山岳協会の幹部との間で、このDon’t forget leprosyを世界的なキャンペーンとするために、共に協力していくことが合意された。

今回のネパール訪問は、私にとって、ハンセン病ゼロを目指すうえで、決意を新たにする良いきっかけとなり、大変実り多いものとなった。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平