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教育インターナショナルが教材を開発、インドネシアの教育現場でハンセン病啓発活動を実施

ジュパラ県知事、PGRIの執行部と研修に参加した教職員

2026年9月、笹川ハンセン病イニシアチブは、インドネシア・中部ジャワ州ジュパラ県を訪問し、インドネシア教職員組合(以下、PGRI)が実施した、教育現場におけるハンセン病啓発活動を視察しました。今回の活動では、2026年1月に開催された「ハンセン病当事者に対する偏見と差別をなくすためのグローバルアピール2026」の共催団体である教育インターナショナル(Education International、以下EI)が開発した教育者向け啓発教材(以下、ツールキット)を活用。教職員を対象とした研修に加え、研修を受けた教員が高校生に向けて啓発活動を行いました。

教育関係者向け啓発ツールキット「Teaching Inclusion, Building Belonging」

「Teaching Inclusion, Building Belonging」は、ハンセン病に関連する偏見や差別の解消と、包摂的な教育の推進を目的にEIが開発した実践的なガイドです。笹川保健財団の支援を受け、2026年のグローバルアピールを契機とした取り組みの一環として作成されました。本ツールキットが重視するのは、教育現場における障壁はハンセン病そのものだけではなく、それに伴う偏見や差別、排除にもあるという視点です。すべての子どもが尊厳を守られ、平等に学び、学校や社会に参加できる環境をつくることを目指しています。主な対象は、教員、教育支援職員、学校管理職、教職員組合関係者です。

Education Internationalが開発した教育者向けの啓発教材ツールキット

教職員から高校生へ――研修と啓発の3日間

啓発活動は、9月28日から30日までの3日間にわたって実施されました。最初の2日間は、約100名の教職員を対象に、ツールキットを活用した講義やグループワークなどを実施しました。3日目には、研修を受けた教員が市内の高校を訪れ、約300名の高校生に向けて啓発活動を行いました。

3日間を通じて、2名のハンセン病回復者も活動に参加しました。そのうち1名は通訳も務め、パネルディスカッションや質疑応答を通じて、自らの経験や視点を参加者に伝えました。当事者の声に直接触れる機会を設けることで、参加者がハンセン病に関する正しい知識を学ぶとともに、偏見や差別がもたらす影響について理解を深める場となりました。

医学的な講義を除き、講師の大半を務めたのはPGRIのメンバーです。現職の教員で、教育学などの博士号を持つ人も含まれる講師陣は、ツールキットの内容を十分に理解したうえで、教材を実際の講義に落とし込み、参加者に分かりやすく伝えていました。教職員向けの研修では、参加者が熱心に講義に耳を傾け、メモを取りながら活発に質問する姿が見られました。講義後のグループワークでは、学んだ内容をそれぞれの学校での実践につなげるため、具体的なアクションプランを策定しました。

今回の活動を通じて、教員がハンセン病に関する正しい知識を身につけ、学校や教室で他の教員や生徒に伝えていくことの重要性が改めて確認されました。教員自身が地域の教育現場における啓発の担い手となることで、一過性の活動にとどまらず、学校を起点に正しい知識を継続的に広げていくことが期待されます。

また、教職員向けの研修ではジュパラ県知事がスピーチを行い、高校生向けの啓発活動には同県の教育局長が参加しました。活動の様子は地元紙でも報道され、地方政府レベルでハンセン病啓発への関心と協力を得る機会にもなりました。

教職員を対象とした研修の様子
高校での啓発活動の様子

啓発を点から面へ――インドネシアから世界へ

笹川ハンセン病イニシアチブと教育インターナショナル(EI)は、教育分野を通じたハンセン病啓発の推進に向けて、継続的に協働してきました。今後は、今回の取り組みをジュパラ県でのパイロット活動にとどめず、インドネシア国内のより広い地域、さらには全国へと展開していくことを目指します。その実現には、今回得られた成果や経験を今後の政策や事業に生かせるよう、地方政府に加え、中央政府の理解と協力を得ることが不可欠です。

さらに、インドネシアでの取り組みを足がかりに、EIが今後開催する会議などの機会を活用し、各国の教職員組合との協働を検討する国々の代表との対話を進めていく予定です。各国の教職員組合が持つネットワークや教育現場とのつながりを生かし、それぞれの国の実情に応じた啓発活動の展開につなげていきます。

また、ツールキットをより多くの国や地域で活用できるよう、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、ヒンディー語、インドネシア語への翻訳も予定しています。笹川ハンセン病イニシアチブは、EIをはじめとするパートナーとの協働を通じて、学校を起点とした啓発活動をインドネシア国内から世界各地へと広げ、ハンセン病にまつわる偏見や差別の解消と、誰もが尊重される包摂的な教育環境の実現を目指します。

また、ツールキットの活用をさらに広げるため、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、ヒンディー語、インドネシア語への翻訳も予定されています。なお、ヒンディー語版とインドネシア語版は、予算上の制約から概要版として作成される予定です。教材の詳細は、Education Internationalのウェブサイトでご覧いただけます。

※ツールキットの詳細は、EIのウェブサイトをご覧ください。

研修を受けている様子
バングラデシュのスカラーたち