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ハンセン病当事者の若者を支援──ナイジェリアとバングラデシュのヤングスカラーを訪問

2026年9月、笹川ハンセン病イニシアチブは、ナイジェリアとバングラデシュを訪問し、2026年度に選出された笹川ハンセン病イニシアチブ・ヤングスカラープログラムのスカラーたちと面談しました。同プログラムは、18歳から35歳のハンセン病当事者が、専門的な技能を身につけて経済的に自立するとともに、自らのコミュニティに貢献する次世代のリーダーへと成長することを目指しています。今回の訪問では、研修を通じた成長や、それぞれが描く将来の夢について話を聞きました。

ナイジェリア: 技術を力に、未来を切り拓く

9月6日、ナイジェリアのUzuakoli Leprosy Settlementを訪問し、当事者団体Purple Hope Women Empowerment Initiative Nigeria(PHWEIN)が選出したヤングスカラー4名と面談しました。

かつてハンセン病の療養地として知られたこの場所では、施設の老朽化が進み、子どもたちが通う学校も屋根を失うなど、厳しい環境が続いていました。近隣の病院でも差別のためハンセン病の患者の受け入れが難しいとされ、地域社会に根強く残る差別や偏見も浮き彫りになりました。今回選ばれた4名のうち2名は、このコロニーの出身です。両親をハンセン病で亡くした若者や、孤児として育った若者など、それぞれが困難な経験を乗り越えてきました。

面談では、4名がプログラムにかける思いと将来の目標を語ってくれました。

ある男性スカラーは、靴製造の技術を習得し、自分が暮らすコロニーの人々を支えたいと話しました。両親がハンセン病当事者である20歳のスカラーは、電気工事の技術を身につけるとともに、自動車修理の仕事を通じて、同じコミュニティの若者たちの力になりたいと考えています。

ある女性スカラーは、ファッションデザインを学び、将来自分のブランドを立ち上げることが夢です。そのブランドを通じて、ハンセン病への理解を広めたいと話しました。また、7歳でハンセン病を発症した23歳の女性スカラーは、美容(ヘアドレッシング)の技術を磨いて経済的に自立し、将来はその技術をほかの人にも教えたいと語りました。

目指す職業はそれぞれ異なりますが、共通しているのは、技術を身につけて自立し、同じ境遇にある仲間や地域の人々を支えたいという思いです。

ナイジェリアのスカラーとメンターたち
スカラーの出身地であるウズアコリ療養所にて

バングラデシュ: 学びを地域への貢献につなげる

9月22日から23日にかけて、バングラデシュのボグラを訪問し、当事者団体Bogura Federationが選出したヤングスカラー5名と面談しました。

44名の応募者から選ばれた5名は、TMSSの職業訓練機関と連携した研修に参加しています。リーダーシップ、コミュニケーション、ジェンダー、人権、組織運営などを学びながら、それぞれの将来の目標に向けて知識やスキルを身につけています。

5名のスカラーは、手作りのチャートを使ったプレゼンテーションを通じて、目指す職業や将来への思いを発表しました。

その一人であるTaslima Akterさんは、Bogura Federationのリーダーとして、将来はバングラデシュ国内にとどまらず、国際的な舞台でもハンセン病当事者のために活動したいと話しました。また、検眼に関する資格の取得を目指しており、将来は視力検査などのサービスを地域の人々や社会的に弱い立場にある人々に無料で提供したいと考えています。

ほかのスカラーたちも、それぞれの関心や適性を生かした将来像を描いています。経済・金融の知識をハンセン病の啓発活動に役立てたいと考えるスカラーや、携帯電話の修理やコンピューター関連サービスの技術を習得し、経済的自立を目指すスカラーもいます。

彼らに共通しているのは、自分自身の生活を支える力を身につけるだけでなく、学んだ知識や技術を周囲の人々に還元したいという思いです。

研修を受けている様子
バングラデシュのスカラーたち

困難な状況を乗り越えてきた若者たちが、学びを通じて自信を深め、未来のリーダーとして一歩ずつ歩み始めています。

ヤングスカラープログラムは、専門技能の習得や就業・起業を通じた経済的自立を支援するとともに、自信とリーダーシップを育み、ハンセン病当事者や地域社会が直面する課題の解決に貢献できる人材の育成を目指しています。

今後もパートナー団体やメンターと連携し、若者たちの成長と夢の実現を支えていきます。自らの力で立ち、ほかの人々のために行動する。一人ひとりの成長が、差別や偏見のない社会の実現と、よりよいコミュニティの未来につながることを期待しています。