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70号 大使メッセージ:子供たちの未来のために

2005年に東チモールで、7歳児のハンセン病患者に会って驚いたことがある。今年の1月にインドネシアのパプア州を訪れた折には、4歳児の患者に会った。この子は、早期発見され、早期治療を受けることにより、障害もなく、本当に幸運であった。

ハンセン病はいまや、病気としての問題だけではなくスティグマや差別の問題が大きくクローズアップされている。治療を終わった回復者をとりまく差別の現状を見れば、この問題が医療だけの問題ではないことは、自明のことである。

かつてインドのウッタルプラデッシュ州の保健省は地域の学校と連携して、先生がハンセン病について授業で説明した後、生徒に人体図を渡し、それぞれの家庭で家族のスキンチェックをする宿題を課したことがある。この方法は、子供の患者の早期発見、早期治療に大きな力を発揮した。

各国の保健省には、このような人体図を利用した方法を取り入れ、患者発見、特に子供の患者発見に大いに努力してもらいたい。さらにこの方法には、家族も子供たちからハンセン病について学ぶことができるという利点もある。これですべての子供の患者が救われるわけではないが、これが大きな社会的なムーブメントになれば、すぐれた成果を上げることは間違いない。

スティグマや差別を経験させることなく、子供たちを健やかに成長させることはすべての親の心からの願いである。差別のもととなる障害を防ぐために、子供の患者を早期発見・早期治療することは、ハンセン病との闘いにおいて最も重要な活動の一つではないだろうか。

75歳になった私は、世界各地でハンセン病がもたらす悲劇を見るたびに、私に残された時間の少なさに焦りさえ覚える。そして、ハンセン病対策の進展の遅さが大いに気になるのである。昨年は蔓延国17ヶ国の代表もバンコク宣言に合意し、ハンセン病との闘いへのコミットメントを改めて誓い合った。日本財団も今後5年間で総額2000万ドルの支援を決定した。ハンセン病のない世界の実現に向けて、関係者の皆様の更なる努力をお願いしたい。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平

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MESSAGE: For Our Children’s Future(子供たちの未来のために)

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