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62号 大使メッセージ:ハンセン病サミット

1991年のWHO総会で、ハンセン病の有病率を一万人に一人未満にするという数値的なターゲットを設けたことが、公衆衛生上の問題としてのハンセン病を制圧することに、強いモメンタムを生み、政治的コミットメントを確保することができた。それにより、1991年に88ヵ国あったいわゆる蔓延国は、現在1ヵ国を残すまで減少した。

しかし、私は今の状況を決して楽観視していない。むしろ、危機感を持っている。なぜなら、私自身が世界各地を回る中で、保健省や関係者のハンセン病に対する関心が明らかに低下しているということを実感しているからである。事実、それは数字にも表れている。ここ数年の新規患者数は横ばい傾向にあり、減少傾向にはない。国によっては、新規患者数が若干増加している国もある。また、多くの国では高蔓延地区が今も残ったままである。

過去に比べるとハンセン病患者数は世界で激減したとはいえ、我々は現状に甘んじて、取り組むべき仕事をそのままにしていてはならない。我々は、今一度、集中してモメンタムを生み、政治的コミットメントを確保しなければならない時期にきている。各国保健省は多くの差し迫った課題を抱えているが、ハンセン病は人類に甚大なダメージを与えてきており、今我々は重大な岐路に立っている。この危機感を共有し、改めて活動指針を見直す必要が出てきた。これが、WHOの東南アジア地域事務所とともに、7月にバンコクでハンセン病サミットを開催する理由である。

少し前に行われたWHO総会で、私は12ヵ国の保健大臣や保健次官等と面会し、サミットへの参加を呼びかけた。また、6月に日本で行われたTICADでもアフリカ6ヵ国の大統領、首相に対し、ハンセン病制圧へのさらなる努力と、サミットへの参加を促した。皆前向きな姿勢を見せた。

私はこのサミットを通じて、自国の重大な局面を理解している各国の政治指導者に、ハンセン病対策に対するコミットメントを新たにして欲しい。このサミットが、私たちの闘いを大きく前進させる新たな活力を生む場となることを期待している。私たちはまだ道半ばである。ハンセン病に苦しむひとりひとりが、我々の最大限の努力を成果を受けるべきである。

WHOハンセン病制圧大使 笹川 陽平

No.62 PDF

MESSAGE: Leprosy Summit(ハンセン病サミット)

GENEVA MEMO: Meetings with Ministers

REPORT: Begging for Education

MUSEUM PIECE: PANORAMIC MODEL

VIEWPOINT: Science’s Helping Hand

AMBASSADOR’S JOURNAL: Geneva at the Double

NEWS: Kalaupapa – A Collective Memory

FROM THE EDITORS: PAPAL REMARK