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フランシスコ・ギュラング医師(モザンビーク)

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「子供の頃、地元の教会の手伝いをしていました。その教会の牧師さんから『君は将来良いお医者さんになれるよ』と言われたことをきっかけに、医師を目指しました。」

ギュラング医師は現在、モザンビークのハンセン病対策の責任者です。幼少期のまた別の経験から、喜んでその職務を受け入れました。

「私の祖父はハンセン病を患っており、手足に変形がありました。祖父と私の家族は一緒に生活していました。祖母が亡くなっていたので、私の父と叔父が全面的に祖父の面倒をみていました。身内にハンセン病患者がいたことから、ハンセン病に常々関心がありました。そして医師になってからは、勤務する地域でハンセン病患者を診療することもあり、ハンセン病の治療と防止についてもっと詳しく知りたいと思いました。」

実際のところ、ハンセン病に目を向ける人材は少なく、ギュラング医師が2015年、ハンセン病対策のマネジャーに抜擢されたのは当然とも言える成り行きでした。

「マラリアなどの病気に比べると、ハンセン病対策はおざなりになっています。そのため、任務に楽観はありませんでした。私たちの直面する最も大きな課題は、モザンビークが公衆衛生政策の対象からハンセン病を除外してから、ハンセン病対策が下火になってしまったことです。それを元に戻さないといけません。世間一般のハンセン病とその対策についての理解は十分ではありません。同時にハンセン病罹患者に対しても、完治するまで治療を続けるよう訴えていく必要があります。」

ギュラング医師は、ハンセン病による障害を防ぐため、病気の早期発見と早期治療を重視しています。そして、ハンセン病有病率の高い、モザンビーク北部のカーボ・デルガード州、ナンプーラ州、ザンベジア州を重点地域としています。

「罹患者の発見に充てられる予算は限られているため、ハンセン病回復者で自立的に治療に取り組んでいるグループの協力を仰ごうとしています。また、宗教の指導者や学校の先生、子供達にも関わって欲しいと思っています。実際に既に一部の学校では、生徒が自分の家族にハンセン病の兆候がないかチェックができるボディチャートを配布しています。」

「公衆衛生とハンセン病の知識を深めたい。ハンセン病に精通した人々から学びたい。」

穏やかな語り口ながら、ギュラング医師はモザンビークのハンセン病対策を再び軌道に乗せることとさらなる自己研鑚への意欲にあふれていました。

(WHO ハンセン病制圧大使ニュースレター 第91号(2018年8月発行)「Man on a Mission」和訳)