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その後の「コロナ」 最近の話題

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、5類に移行してから8月8日で丸3ヵ月となります。が、一貫して感染者の増加が続いています。やっとコロナが終わった!!と気分的には軽くなったのですが、確かに街の人出、とりわけ新幹線や飛行機は満席に近く、以前の賑わい・・・を感じることも増えました。そして、この夏に、各地の伝統的お祭りや花火大会も行われるところが多いようです。だから、これらイベント再開と夏休み、インバウンドの増加が、再び感染拡大の一因ともなりかねませんが、再度の危機感共有!!と云われても、ナァ・・・でしょうか。

2023年8月5日には、4日に久しぶり(7月7日以来、およそ1ヵ月ぶり)に新型コロナウイルス対策についての助言を行う厚生労働省の専門家会合が開かれ、「現在の感染状況は、全国的に緩やかな増加傾向が続いており、感染者数は、夏の間増え続ける可能性がある、そして医療提供体制への負荷が大きくなることも考えられる」として、「換気」、「マスクの効果的な場面での着用」、「手洗い」など基本的対策を呼びかけた、と報じられました。以前は、毎日お見かけした専門家会議メンバーですが、専門家会議を1ヵ月ぶりに開催するくらいで良いのだ、と理解してよいのでしょうね・・・

ですが、①新規患者数は全国的に4月上旬以降も緩やかに増加傾向が続き、5類移行後も11週連続で増加している。②地域別には、感染先行拡大した沖縄県では減少傾向がみられるが、42都府県では前週より増えている。③全国的に、新規入院や重症患者の増加傾向は続いているが、医療提供体制のひっ迫はみられない。しかし、④救急搬送困難なケースが増加し続けている。さらに、⑤検出される新型コロナウイルスの種類は、オミクロン株のうち「XBB系統」が大部分を占め、中でもより感染しやすいとされる「EG5.1」が増加しているそうです。

では、どうすれば良い?ですね。
今後の見通しは、過去の状況を踏まえると、夏の間感染者が増え続け、そして医療提供体制への負荷が大きくなる可能性があるが、その理由は、①感染やワクチン接種による免疫力が時間経過により低下している可能性、➁より免疫(抵抗力)を逃れやすい変異ウイルスの増加、➂夏休みなどで人と人との接触の機会が増えること・・・などが、感染状況に影響するので注意が必要、としています。ウゥーン!どう注意すればよいの?と、突っ込みたくなりますね。

専門家会合の対策案は、このため、ⅰ感染動向や医療提供体制を注視しつつ、ⅱ高齢者や基礎疾患があり、重症化リスクの高い人へはワクチンを接種し、ⅲ感染拡大しても必要な医療が(キチンと!)提供されるように幅広い医療機関で新型コロナ対応体制移行を進めていくことが求められる・・・としています。そのうえで、暑さのため部屋を閉めきって冷房をかけていても、

換気に配慮すること
マスクを効果的に使うこと
手洗いなどの基本的感染対策、が大事としています。

ま、まだ、あまり変わっていないですね。
私は、電車やバスの乗客が多い時、病院などではマスクをしますが、屋外はノーマスクです。換気はエアコンを使用、そして外出後の手洗いは、普通の石鹸で、ゴシゴシです。

また、新たなワクチンは、オミクロン株新系統「XBB・1・5」に対応した新ワクチンを使用し、9月20日接種開始と報じられています。(2023.8.6 読売新聞)

ところで、周囲に相当の感染者が出ても、感染しない方がおられます。先般、興味深い論文を読みました。2023年7月19日付のSCIENCE誌の記事、「新型コロナウイルス感染者の5人に1人は症状を発症しないが、遺伝子変異が理由かもしれない。“One in five people who contract the COVID-19 virus don’t get sick. A gene variant may explain why.”」です。COVID-19ウイルスに感染しても発病しない人が5人に1人位いる。遺伝子変異―変異した特定遺伝子がSARS-CoV-2ウイルスに対する免疫反応を強化する原因かもしれない・・・研究では、これらの遺伝子変異がウイルスに対する免疫応答を増強し、感染しても症状が現れにくくなる可能性がある、としています。この知見は、COVID-19ウイルス感染と疾患の関係性を理解する重要なカギを提供している・・・5人に1人と20%の人は発症しない・・・特定遺伝子の変異、興味深いですね。

さて、コロナ流行中、病院はもとより、老健など、そもそも体力的にリスクを抱えている方々が複数おいでの施設で面会謝絶的措置を取られた施設がたくさんありました。個人的にも、孫面会が出来ないが故に、ネット対談の手段を修得した後期高齢者知人もいます。やればやれる!!

先に、孤立は健康問題だ!と記しましたが、(「孤立は健康問題デス!」2023.7.18ブログ)コロナはそれを助長したとも申せます。そして、孤立した高齢者や高齢者に近い世代に由々しき事態が起こっているとの報告があります。例えば、少し古いですが、ジョンズ・ホプキンズ大学医学部ジャーナル“Johns Hopkins Medicine”の2023.01.12号の“New Studies Suggest Social Isolation Is a Risk Factor for Dementia in Older Adults, Point to Ways to Reduce Risk. (社会的孤立が高齢者の認知症リスクとなる危険性を示す新しい知見。それを減らす方法)”では、同大学公衆衛生大学院のA.ホアン博士が、「社会的に孤立した高齢者は、社会的ネットワークが小さく、一人暮らしで社会活動参加も限定的」「ひとつの可能性として、他人と交わる機会が少ないことが認知的関与を低下させ、認知症リスクを高めるかもしれない」としています。ちょっと長くなりますが以下概略です。

「アメリカ全国の数千人のデータ分析したジョンズ・ホプキンズ大学医学部と同大公衆衛生大学院の研究者は、社会的孤立は個人住宅に住む(=施設入所していない)高齢者での認知症の重要リスク要因だと示唆し、科学的手段用いた効果的な介入方法を示した。
米国立老年医学研究所データでは、同国における65歳以上の約4人に1人は社会的孤立を経験している。社会的孤立とは、定期的に他人との社会的接触や交流がない状態をいう。認知症と社会的孤立とが直接的因果関係にあると決めつけてはいない・・・としつつも、孤立が認知症リスクを増すこと強調し、ちょっとした文章や電子メールのような比較的簡単な手段ででも、高齢者と社会的につながり、サポートすることは認知症リスクを軽減する可能性があると示している。
同大学医学部助教授で、これらの研究の共同著者T・カジョー博士は、「社会的なつながりは私たちの認知的健康に影響し、社会的に孤立することは高齢者にリスクとなる危険性がある」といる。
『アメリカ老年学会誌 Jr.Am.Geriat.Soc.』2023.01.11掲載の最初の研究は、2011年開始の長期的な全国的健康・老化動向研究の一環として収集した5,022人のメディケア(高齢者障害者保険)受益者データを使用した。全員65歳以上、認知機能、健康状態、総合的幸福度評価のため、年一度2時間の対面インタビューを受けた。初回、参加者5,022人中23%は社会的孤立状態だったが認知症兆候はなかった。その後、9年の研究終了時、全体の21%が認知症を発症していた。研究者は9年間の認知症発症リスクは、社会的孤立の高齢者の場合は社会的孤立のない高齢者に比べて27%高いと結論付けた。
『アメリカ老年学会誌 Jr.Am.Geriat.Soc.』12月15日の論文では、電話、電子メールなどの使用が社会的孤立リスクを低減させることを示している。この研究には、同じ参加者データが使用された。初回、社会的孤立のない65歳以上の人々の70%以上は携帯電話かコンピューターで定期的に他人と交流しており、研究経過4年間で、そのような交流手段を活用した高齢者はそうでない人に比べ、社会的孤立リスクは31%も低い結果だった。
同大学医学部老年医学のムフォン・ウモ博士は、「基本的コミュニケーション技術は社会的孤立と戦うための素晴らしい手段だ。本研究は、単純な交流技術も高齢者の社会的孤立を防ぐには重要な役割を持つ。つまり、単純な介入が意味あるものになり得ると示している」という。

私も、立派な独居老人ですが、ありがたいことに10才から92歳のメル友?がいてくれます。もちろん、日々の勤務も大事な交流の場ですが、憎まれっ子世に憚っている・・・ちょっと、いえいえ、大いに反省します。