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フィンランドへの飛行

北欧諸国の保健制度、特に高齢者ケアの実際を見聞するため、「日本財団在宅看護センター」ネットワークは昨年から、フィンランドを拠点に近隣国を訪問しています。2023年10月と本年5月の訪問チームの報告書はすでにでていますので、ご高覧いただければと思います。

第3回目の今回は、総勢15名、フィンランドとスウェーデンの関係施設数か所を1週間で見せていただくというコンパクトしかしインテンシブな計画です。いずれ報告書はまとめますので、中身はさておいて、ここでは往復を数えるなら5度目となる羽田からヘルシンキへの飛行の感想を書きます。

NHK Newsより(2022年4月2日)

さて、私たちを乗せたJL047便は、東京羽田空港第3ターミナルを朝8時25分・・・実際には、少し遅れて8時40分頃には中空に向かいました。そして日本の東北地方、北海道、さらに択捉島(えとろふとう)、国後島(くなしりとう)、色丹島(しこたんとう)、歯舞群島(はぼまいぐんとう)の北方4島の東側を北上し、カムチャッカ半島とアリューシャン列島の間を抜けてアジア大陸の東端にそって北上します。そしてベーリング海を北上し、アジア大陸とアメリカ大陸の間のベーリング海峡の上空をさらに北に向かいます。その先は北極海です。

今回の飛行ルート(2024年10月5日 JL047)

飛び立って7時間ほどで地球のテッペンに至りました。北極あたりを天辺(てっぺん)といったら、南極は底?差別!と云われそうですが、宇宙に浮いている地球の頂上の上を飛び続ける機の航空路図では大きな白い大陸です。やはり少し雪解けの気配もあるのか、図にはところどころ茶色い岩肌が描かれています。外気温はマイナス53度。高度12,000メートル以上はこんな寒気なのですね。

その昔、日本からヨーロッパへの飛行機はロシア上空を飛んでいました。図に示すように、2022年2月4日に勃発したロシアのウクライナ侵攻以降、ロシア上空は飛べなくなっています。

ところで、私たちが普段見なれている地図は、16世紀にフランスの地理学者ゲラルドゥス・メルカトルが作成した投影法による平面の地図です。が、実際の地球はほぼ球形ですから、一番太い赤道のあたりと天辺と底の北極や南極に近いあたりの周囲はとても差があります。北緯35度33分12秒にある羽田空港から北緯60度10分15秒のヘルシンキに行くには、かつて飛んでいたロシア上空の航路が最短距離だったのでしょうが、現在は遠回りの北極近くを飛ぶことになったのですね。なんと、そのせいで飛行時間は数時間も長くなっている・・・つまりそれだけ燃費がかかっているのだそうです。

私たちの乗った便は12時間ほど、丸半日の旅ですが、日本からの世界各地への直行便では最も長い方かもしれません。それで思い出しました!!毎度の大昔話ですが、私が初めて飛行機でヨーロッパを訪問したのは1969年12月でした。その頃は、往路も復路もアメリカ大陸アラスカのアンカレッジ空港で給油が必要でした。

さてさて、北極海に達した飛行機は、それからの数時間西南に向けて飛び続けました。航路の図では、延々と続く白い大陸の上を飛んでいますが、外は暗闇・・・何も見えません。

その北極海の白い大陸を抜けたのは、羽田を飛び立って約10時間、機はグリーンランド海に至りました。グリーンランドは見えませんが、以前訪問したデンマーク王国を調べていたときに知ったことで、この日本の約6倍近い大きなデンマーク王国の一部をなす島は、大半は厚さ3,000mともいわれる氷塊に覆われているのですが、ここでも地球温暖化の影響・・・つまり永久凍土的な氷雪が融けているとか。

機は、ノルウェー海に達します。パラパラとかたまった島々が見えますが、地図で調べるとスヴァールバル諸島でしょうか・・・確たる名称は判りません。10時間の飛行、あと2時間です。北欧の太陽は中空で直視できないほど、強く輝いていますが、外気温はマイナス46度と少し上がっただけ、高度は12,496メートルと変わりません。速度は969キロメートル/時間。

ついに、飛行機はノルウェー、スウェーデン、フィンランドそしてその東側にロシアが存するヨーロッパ大陸北西の陸地に達しました。

後はフィンランドの上空を南下するだけ、やれやれ・・・は乗せていただいている私ではなく、満杯の乗客の生命をあずかられている操縦士やお世話をされているアテンダントのお気持ちでしょうか。

窓の外はどんどん緑深い景色に代わります。そして、着きました!!ヘルシンキ空港。12時間空の旅でした。