JP / EN

Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

猫イメージ

春!若者の季節

・・・と申しても、話は去年の夏のことでした。

私ども笹川保健財団は「看護師が社会を変える!」と銘打って、在宅看護の活動を広めるためのお手伝いをいたしております。本年度、その8か月にわたる育成研修を再開することは、先日、書かせていただきました。

在宅看護については、当財団ホームページの新着情報<NEWS>で都度ご報告させていただいていますが、この事業から派生した活動がいくつかあります。

一つは、現在も20名弱が研修中のアメリカ、カナダでの修士・博士号取得のためのフェローシップ(Sasakawa看護フェロー)です。昨年、最初の修士取得者が帰国し、早速同窓会・アルムナイ活動も始まっていますが、ワクワクする将来の予測も論じられています。アメリカでは複数大学への大型ファンドがカットされたり、教員のレイオフ、また、USAIDや国立研究所が規模縮小されたりなど、保健分野では芳しくない情報が飛び交っていますが、それだからこそ、若い人々にはさまざまな活動を積極的に広めて欲しいと願っています。(フェローの活動は「ささへるジャーナル」でもご紹介しています。)

もう一つの活動は、一昨年からの「ささかわ未来塾」です。

これは看護など保健系の大学生・院生が短期間ですが、広く地球を俯瞰して、健康、平和、国際、環境などなど、通常の学生生活で触れる機会が少ない、いわゆるリベラル・アーツ・・・一般教養系のエッセンスにひたる機会でもあります。

実はこの事業のルーツは、2014年から福島で行った「放射線災害医療サマーセミナー」にありますが、コロナもあって6回で終わりました。が、その時の若者の交流を垣間見て、若く柔らかい脳みそには、いくら刺激を詰め込んでも問題ないことを経験したことから、あらためて始めたのが「ささかわ未来塾」です。

昨年8月、長崎大学の先生方、長崎県五島市・・・五島列島とも連携した企画は良かったのですが、わが国付近に至って急にのろのろしだした台風10号(気象庁HPより)に当たってしまいました。せっかく予定した五島への渡航、参加者だけでなく、受け入れの準備をしてくださっていた現地の方々も、それはそれは期待してくださっていただけに、断念は誠に無念でしたが、安全確保が第一です。

結果として、長崎大学をお借りして行った本土研修は完璧に全うできましたが、日本の西の端から東シナ海を見ての国境や国際関係、その他ホットな講義はネットとなり、皆ががっかりしました。そして空も陸も交通の便がなくなったがために宿舎に立てこもりました。

台風10号の進路(NHKニュースより)

しかし、です。
そこからの、若者たちの自主的活動のすごさに圧倒されました。

台風そのものの規模はそれほどでもなかったこともありますが、気象情報に留意しながら、財団の担当者とこまめに連絡を取りつつ自主研修をやってのけてくれました。

参加者は看護学、医学、薬学、放射線学と多岐にわたっており、もちろんすべての参加者が一堂に会したことはなかったのですが、お互いに優れた交渉力を発揮し、短時間に観るべき、また、訪問できる場所を選定し、時間的経費的そして中身の濃い企画をコーディネートしたうえ、何より十分楽しんでくれました。

2024年度ささかわ未来塾報告書(PDF)」は台風襲来時の研修としてはとてもよくできています。私は、皆の感想を読みながら、涙が出たり、にんまりしたり、何度も読み返しました。若者力(わかものりき)です。

参加者のお一人、福井大学の石川綾乃さんから、以下の嬉しいフィードバックも頂きました。お許しを得て、ここに掲げます。

長崎原爆資料館にて

「宮前様〈財団担当者〉

こんにちは。
ささかわ未来塾に参加させて頂いた福井大学の石川です。
先ほど、お願いしていた追加の報告書が手元に届きました。
お忙しいところ、対応してくださり、本当にありがとうございました。
早速、大学の先生に報告書を見て頂いたところ、参加者の皆が活き活きと学ぶ姿やささかわ未来塾に行ったからこその学びについて沢山、褒めて頂きました。
ささかわ未来塾は、医療や保健など学問だけでなく、先生方や他の地域から来られた参加者の方とお話することを含めて多くの学びがあり、成長できる場所だと感じたので、後輩に勧めてみますね。
ありがとうございました。

石川綾乃」

打ち上げの様子

今年は、8月の終わりに予定しています。詳細は、財団ホームページで発表します。
色々、暗いニュースもありますが、若者力を発揮して日本をにぎやかにしてください。