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北欧研修と戦争

「日本財団在宅看護センター」ネットワークの恒例ともなった海外研修の5回目で、フィンランドに参りました。

既に4年と2か月が過ぎたロシアのウクライナへの武力攻撃・・・その昔はロシア上空を飛ぶ航空路を使えば東京からフィンランドの首都ヘルシンキへ飛行時間は10時間弱、日本から一番近いヨーロッパなどと喧伝されたものでした。が、現在はロシア上空を大きく迂回して、北極圏、グリーンランド上空を飛びますので最低でも12時間前後の飛行時間です。

戦争と云えば、地上の戦いを思いますが、空(そら)は真っ先に分断される空間なのですね。

東京‐ヘルシンキ航空路

そしてそのロシアはウクライナ侵攻以降、軍事面だけでなく、経済や外交、文化面、スポーツなど広範囲な制裁や制限を受けてはいますが、簡単に戦争が終わりそうにないのは、完全なロシア孤立が全うできていないこと、いわゆる経済や、ロシア産天然ガス、石油などの輸出を含む貿易制裁の限界でしょうか。ロシアにはロシアの言い分がありましょうが、4年間、何時どこに隣国から砲弾が降ってくるかわからないウクライナを想うと言葉もありません。武力行使は1秒も早く止めるべき・・・と偉そうに申すのではなく、止めて!!とお願いします。

ロシア・・・かつてのロシア帝国の栄光を思えば、第二次世界大戦終結時には戦勝国であったのに、東西冷戦構造の激化によって1949年にはNATO(North Atlantic Treaty Organization 北大西洋条約機構。旧ソビエト連邦<現ロシア>に対抗するために設立された政治・軍事同盟)が生まれました。もちろん旧ソビエト側もそれに対抗するワルシャワ条約機構(ワルシャワ友好協力相互援助条約機構 ソ連・東ドイツ・ポーランド・チェコスロバキア・ハンガリー・ルーマニア・ブルガリア)を設立しました。が、1991年、旧ソビエト連邦が消滅するとともに、この同盟も終わりました。

ロシア機の領空通過・乗り入れを禁じている諸国

NATOがモスクワを攻撃する・・・ことはないと信じますが、かつて同じソ連邦の一部だったウクライナまでがNATO加盟国になりたいとすると、首都モスクワの傍にまで西側の脅威が及ぶとロシアの為政者が危惧しているとか、ソビエト連邦成立以前の、中世の栄光ある大ロシア帝国の再現を目指しているとかの説もありますが、とにかく、ウクライナが西に走ることは許さない・・・でしょうか。

NATOは1949年の創設時にはたった12か国(アメリカ・イギリス・カナダ・フランス・イタリア・オランダ・ベルギー・ルクセンブルグ・デンマーク・ノルウェー・アイスランド・ポルトガル)でしたが、その後、1952年から2020年までに8回の加盟国追加があり30か国となっていました。そして2022年のウクライナ侵攻後には、長年、中立を保っていたフィンランド(2023)とスウェーデン(2024)が加盟し、アメリカ、カナダの北米とヨーロッパの大半の国が結束してしまいました。藪蛇・・・ですね。で、意地でもウクライナは加盟させない!とロシアの盟主はお考えになったかもしれません。でも、毎日、爆弾やドローンが降ってくる事態を続けながら「こっちの仲間になりなさい・・・」って、無理ですよね。

ささやかな市民の想いですが、この4年余りの武力攻撃に費やされた経費・・・正確な額は判りませんが、2022年の全面侵攻開始以来のロシアのウクライナ戦争関連費用は、おおよそ4,000億〜5,500億ドル(約60兆〜85兆円 The Ukrainian Reviewより)と推定されています。爆弾の代わりに、子ども施設をつくったり、保健施設を整備したり、地域開発を支援したりすれば良いのに・・・と思いませんか?

Ukrainian Intelligence Reveals Russia’s Hidden War Spending in Ukraine(The Ukrainian Reviewより)

ロシアとの間に1,343キロメートルというNATO加盟国中最長の国境をもつフィンランドが、短期間の議論の後、いち早くNATOに加盟したのは、差し迫った危機ではなくとも、「戦争を知っているからこそ、平和政策を重視する」という姿勢を確固として示したように私には思えます。

フィンランド4泊、デンマーク2泊、機中1泊ですが、今回もフィンランドの地域保健の実態を、日本各地で在宅看護の一線に立っている仲間の看護師たちと勉強させていただきます。

※過去の北欧研修の報告書は、以下のURL「研修修了後も学びの機会を提供します」からご確認いただけます。
https://www.shf.or.jp/grants/nursing_entrepreneurship_training/

フィンランド‐ロシア国境(岡田隆 駐フィンランド大使のご寄稿より)