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潜伏キリシタン 長崎大学と長崎純心大学の五島・平戸セミナー

8月の最終週、長崎大学と長崎純心大学が協働して実践されてきた地域学生研修セミナーに、部分的ですが、参加させて頂いています。詳しくは長崎大学島嶼SDGsプロジェクト長崎純心大学医療・福祉連携センターにありますが、両大学連携の、地域での保健と福祉の実態を実感する、短期集中の素晴らしい研修です。

五島と平戸・・・と云えば、最近、といっても2018(平成30)年7月に、ユネスコの世界文化遺産に認定された潜伏キリシタン遺跡である教会が沢山あります。

五島列島へは、大昔の1970(昭和45)年頃、長崎大学で開催された臨床病理学会の後、初めて訪問しました。どの教会であったか覚えていませんが、小さな農耕地が続き彼方に小さな教会あり、シスターが歓迎して下さいました。小児科医だと名乗ったら、ここに勤務なさいな!とおすすめ頂きました。もし、その時、そこに暮らすことを選んでいたら、どんな一生だったか、と思います。

今回、五島ではどの教会も訪れる時間はないまま、次の訪問地福岡に向かいましたが、昨夕、両大学共催の後半の平戸セミナーのために、豪雨の後の平戸入り致しました。

少し、時間があり、同行して下さった地元の知人につれられて、有名な田平天主堂にまいりました。この教会は、世界遺産には含まれていないのですが、五島などの多くの教会建築を手掛けられた鉄川与助という超名人級の方が、最後に造られたとか・・・一部八角のユニークな構造でもあり、内部のステンドグラスの鮮やかな赤色が印象的でした。重い雨雲の空を背景に、貝殻を焼いた粉を混ぜて作った接着材料で煉瓦と煉瓦の間をつないであるという全建物が煉瓦造り、静かな存在感を与えていました。

以前書いたことがありますが、森禮子の『五島くずれ』を想い出しました。なぜ、この地域の人々が新たな外来宗教を信じ、それ故にいのちを失うことさえためらわなかったのか、潜在したことで、護られたものは何か・・・低い雨雲の中で、江戸時代から外来文化の入口であっただろう街は、なお、しっかりと存在しています。

平戸城、平戸大橋、教会群・・・一度、ゆっくり訪れ、潜伏キリシタンの色々も勉強したいと思いました。

なお、平戸は、今回の豪雨で最大量降雨がありましたが、道路の崩壊がある程度で大きな被災がない由、ほっとしました。