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第一期COVID-19ハンセン病コミュニティ支援活動報告:インド・ジャルカンド州

笹川保健財団は、助成事業を通じてハンセン病への偏見・差別がなく、病に罹患した人が必要な治療やサービスを享受でき、ハンセン病が問題とならない社会の実現に向けて取り組んでいます。2020年はコロナ蔓延の一年となり、ハンセン病の患者・回復者やその家族らの生活はより厳しいものとなりました。そのため助成事業も、既存の支援に加えコロナ禍でのハンセン病コミュニティを支援するため、①直接的ニーズへの対応、②政府に対するアドボカシー、③積極的な情報発信を組み合わせた包括的な事業を実施しました。今回は、その第一弾として、インドからのレポートをお届けします。

インド・ジャルカンド州第1期 COVID-19ハンセン病コミュニティ支援活動報告①

新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中のいたるところでロックダウンや移動制限が行われ、人々の生活は厳しくなりました。本事業の活動地であるインドはアジア最大の新型コロナウイルス流行国で、累計での患者数は世界で2番目、死者数は3番目と多くの人が苦しんでいます。中でも、住民登録の問題や情報不足、手続きが難しい等の理由から公的サービスの恩恵を享受できないハンセン病コミュニティの人々が受けた影響は甚大で、収入を失い食事が十分にとれない人や、必要な治療を受けられずハンセン病の後遺症を悪化させてしまう人が大勢存在します。

この事業は回復者組織であるATMAとその支援組織である現地NGOのJago Foundationと協力して2020年11月から2021年2月まで実施されました。ATMA SWABHIMAN (ATMA)は2008年にインドのジャルカンド州で回復者組織として設立されたNGOです。ハンセン病当事者の一般社会への統合を目指して、啓発活動、セルフケア促進等さまざまな活動を実施してきました。

ATMAは本格的に活動を始める前に、ハンセン病コロニーの若者20人から協力を得て、最も困窮している人の情報を収集し、名簿を作成しました。その中から110世帯に食料を提供、20人に生活支援金として5000ルピーを給付、50人の子どもに教育支援金として2000ルピーを支給しました(①直接的ニーズへの対応)。また、20のコロニーでハンセン病問題の啓発会合、若者へのリーダーシップ研修を実施し、郡政府や州ハンセン病担当官に生活向上・医療サービスの向上の嘆願書を提出しました(②政府に対するアドボカシー)。さらにSNSでの定期的な情報発信やコロナ禍でのハンセン病回復者の生活の聞き取りと情報公開を積極的に行った結果、他のNGOと連携して緊急支援を受けることができました(③積極的な情報発信)。

Gourkhuti Bhowra leprosy colony (Dhanbad市 Jharia 地区)における 緊急支援活動。2021年1月
プロジェクトの進捗を確認するコロニーの女性たち (Dhanbad市 Jharia 地区)。2021年2月

この事業は4か月間という短期間でありましたが、事業を実施したATMAが自身のネットワークとリソースを最大限活用し、できることは全て行うという姿勢で臨んだことから、予想を上回る成果を得ることができました。とはいえ、インドでは今年の3月以降、変異ウイルスの大流行によってこれまで以上に多くの人が感染しており、ハンセン病コロニーの生活も未だに困難な状況が続いています。現在、当財団は第2期コロナ支援として、コロニーの生活の向上と当事者のエンパワメントの促進を目指して引き続きATMAの活動を支援しています。