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「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業特別公開講座シリーズ 「看取りを考える」 を開催しました。

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2016年6月11日~12日、シリーズ3回目を迎えた本公開講座では、「看取り」に焦点をあて医療者、宗教・哲学者に加え、ご家族などさまざまな立場から話をうかがいました。

中野一司先生は在宅医の視点から、看取り(死)を考えることは、生きる意味を考える、つまりは哲学そのものであるとし、医学を含む自然科学主体のキュアから、人文科学を基とするケアへのパラダイムシフトとその哲学的分析について解説されました。

そして、「112日間のママ」著者で読売テレビアナウンサー、清水健氏が長男出産後112日で他界した妻(享年29歳)を看取った経験を語りました。出産後わずか1週間で余命1か月と宣告され何度も医療者から告知を勧められるも、最後までしなかったこと、それを今も自問自答する日々であると語られました。「看護師さんに時に憤り、救われてきたからこそお願いしたい、告知や言葉はなくとも、どの患者・家族にもあるそれぞれの形の「想い」を汲んでほしい」と訴えました。「看取る…?違う…そのために何かをするのではない。最後まで一緒にいるためにできること、それを皆さんと一緒に考える社会であってほしい。それはひとりでは無理です。どうか力になってほしい。」と声を絞りだし語りかけました。

病棟・訪問看護師や心理療法士の講演を経て、最後にカール・ベッカー博士が日本に昔からある食文化や死生観を見直すことで、死は敗北でなく「お見送り」であり、心の供養へ導くことができると力強く語りました。

看取りの現場、家族の思いから学び日本の文化・死生観に触れ哲学を考える、そんな盛りだくさんなの1日半となりました。参加者からは物語、チームの大切さを学んだ、つらい内容を話してくださり感謝、明日につながるし、つなげたい、などの声が寄せられました。