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「ハンセン病の歴史を語る 人類遺産世界会議」開催報告

笹川記念保健協力財団では、1月28日~30日までの3日間にわたって、人類遺産世界会議を開催しました。

登壇者記念撮影

1日目は、アニメーション映画監督の宮崎駿氏を迎えて、「全生園で出会ったこと」と題して特別講演をいただき、病気を病みながらも生き抜いてこられた方の尊厳ある人生から私たちの学ぶべき姿があることを伝えていただきました。午後には、当財団がオーストラリア・クイーンズランド大学のDr Jo Robertson氏と協力してリニューアルした「国際ハンセン病学会(ILA)のハンセン病の歴史ウェブサイト(leprosyhistory.org)」を紹介し、今後世界各地の歴史保存研究などに活用していただけるように訴えました。その後、セッションIとして、「ハンセン病の歴史を残す-世界の取り組み」をテーマに、マレーシアやフィリピン、中国、タイの博物館やアーカイブによる保存の取り組みについて紹介して頂きました。

熱心に議論する参加者

さらに、2日目にかけて、セッションIIとして、「保存する・学ぶ・伝える~主たるプレーヤーは誰か」をテーマに、ブラジルや韓国など9カ国の学者、政府機関、当事者家族のそれぞれの立場から発表していただき、保存活動に対して果たす異なる役割を学び、さまざまなプレーヤーが協力して行うことで保存活動の質と持続可能性を高めることについて確認し合いました。セッションIIIでは、「生きた証・創造力・作品:芸術、文芸、生活用具」として、厳しい隔離の中で当事者の方が作りだしてきた音楽や陶芸、絵画など多様な芸術作品を紹介し、これをどのように現代未来へと保存し伝えてゆくことができるか検討しました。最後に、セッションIVにて、「未来への遺産~実現の途をさぐる」と題して、エクアドル、フィリピン、スペインの方が、南米、アジア、ヨーロッパのそれぞれの地域レベルでネットワークを形成して保存活動を推進していくことの重要性を確認しました。

東京宣言に署名する登壇者

3日目には、これまでの議論を踏まえて、17カ国30名の登壇者の皆がさらに連帯を深め、各地の保存活動の一層の進展を図っていくことを約した東京宣言を発表しました。3日間を通じて、のべ500名の方にお越しいただき、一般市民の皆様にも広くハンセン病問題の将来について考えていただく機会とすることができました。

※ 東京宣言 Resolution