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ハンセン病「制圧」へのシナリオ II

現在、ハンセン病の新規診断患者の家族・近隣住民などに対する予防内服で、英語ではLeprosy Post Exposure Prophylaxis (LPEP)と呼ばれます。多剤併用療法(MDT)に含まれているリファンピシンを単体で内服します。過去に行われた試験的データから、この予防内服により、少なくとも2年間は、50-60%の範囲内で発症を予防することが出来るとされています。
今回、スイスの製薬会社ノバルティス傘下のノバルティス財団とオランダハンセン病財団(NLR)が、インドネシア政府と協力して、同国内の特定地域で試験的に実施することになりました。

 

②ハンセン病ワクチン
動物実験は終わり、今年末には毒性試験をへて2015年に臨床試験に臨む段階に達したそうです。

シアトルにある感染症研究所(IDRI Infectious Disease Research Institute)がアメリカハンセン病財団(ALM)の資金提供を受けて12年にわたり続けてきた研究がやっと治験段階に達するところまで来たそうです。かつてワクチンのない感染症であったハンセン病は、早期診断と化学療法を「制圧」の有効な手段として一定の成功を収めて来ましたが、さらなる「制圧」の進展は立ちあぐねています。ワクチンはその突破口となるかもしれません。
年間の新規患者24万人のおそらく数倍に達するLPEP対象者―家族や近隣の人々。
ワクチン投与の対象となるかもしれない新規患者の家族・近親の人々。
LPEPもワクチンも、世界がハンセン病「制圧」を実現するためには有効なツールであることは疑いありません。
同時に、栄養、衛生・住居、基本的な保健サービスが身近にある環境など、人が生きる上での基本的な環境の改善なくしては「制圧」の持続も困難です。新しい「制圧」のツールは、対象となる人々・コミュニティの十分な理解の上に立って進められることが必要で、実際に、世界保健機構(WHO)はこれらの取り組みを前向きに評価しながらも、実施には慎重な姿勢をとっています。
新しいツールのニュースを前にして、私どもも、とかく数字に語らせて結論としがちな姿勢を自戒しておきたいと思いました。