私の人生を変えた調査コーディネーターとしての経験

私の名前はヌワネカ・ウドエと申します。ナイジェリアのエヌグに住んでいます。現在42歳で、科学実験技術専門の研究員をしています。私はハンセン病回復者で、これまで偏見や差別に苦しんできました。今でも、朝、目覚めた時、ハンセン病の影響で皮膚が明らかに変化しておりショックを受けたことを覚えています。罹患した当初は、社会との関わりを断ち、自分の殻に閉じこもり、生きる意味を見失っていました。

今回私は、笹川保健財団やドイツハンセン病・結核協会（以下、GLRA）の協力で「Don’t Forget Leprosy」キャンペーンの一環としての調査事業にリサーチプロジェクトオフィサーとして働く機会をいただきました。

私の仕事は、GLRAのリサーチ技術部門の指示の下、現地での調査をコーディネートすることでした。そのため、プロジェクトの対象となったナイジェリア南部の6州のうち、5州を訪れました。

そこで私は、私より苦しい生活環境や、厳しい状況に置かれているハンセン病回復者の方々にインタビューをする機会を得ました。「足の無い人に出会うまで、私は靴が無かったので泣いていた」という格言がありますが、まさに私はこのインタビューの経験を通じて、自信を持って「自分自身には、さして問題がない」と言えるようになりました。

私は、この事業に参加したことで、精神的に成長するこができ、社会経済的な状況が回復するだけでなく、ハンセン病の啓発活動へも、前向きに取り組むようになりました。また、データ収集や活動報告など、リサーチやプロジェクトマネジメントのスキルを身につけることができました。現在は、重要な情報提供者へのインタビューやフォーカス・グループ・ディスカッションを実施することもできます。最近、別の研究グループから、「顧みられない熱帯病（NTD）」の患者についてのデータ収集事業への参加依頼をいただきました。

ハンセン病回復者は社会経済的に大きな困難を抱えていますが、それは生産性が低いからではありません。能力や専門性を生かす機会が限られているからです。また、ハンセン病にまつわる誤った偏見や差別のために、目に見える障害を持つ人々はより大きな苦しみを抱えているのが現状です。

今回、笹川ハンセン病イニシアチブの「Don’t Forget Leprosy」キャンペーンの事業で現地調査のコーディネーターの機会を与えてくれたことに感謝します。また、GLRAはハンセン病の認知度を高めるための適切な機会と場所を提供し、回復者に役割を与え、事業の中心に据えてくれたことに感謝します。この活動により、私は再び社会に復帰し、自分の殻を破ることができました。