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【プレスリリース】ハンセン博士のらい菌発見150周年を記念してベルゲンでハンセン病国際会議を開催

笹川ハンセン病イニシアチブ(東京都港区)はノルウェーのベルゲン大学と共催で、アルマウェル・ハンセン博士によるらい菌発見150周年を記念し、ハンセン博士がらい菌を発見したノルウェー・ベルゲン市で、2023年6月21日、22日にベルゲンハンセン病国際会議を開催します。二日間の会議は全て、オンラインで同時配信されます。

19世紀後半、ノルウェーをはじめその他のヨーロッパの国々でもハンセン病は蔓延状態にあり、ハンセン博士のらい菌発見は、人類史上初めて病気の原因として病原体を特定した画期的なものでした。今日では、ヨーロッパのほとんどの地域でハンセン病は終息していますが、世界ではいまだ年間約20万人の新規患者が報告されており、ハンセン病に対する根強い誤解がスティグマや差別を助長し、病気の疑いがある人が治療を受けることを躊躇させ、患者発見の障壁となっています。

現在、世界保健機関(WHO)を中心に、多くの国や国際機関が「ハンセン病ゼロ–疾病ゼロ、障害ゼロ、差別ゼロ–」の達成を目指して活動を行っています。この目標を達成するためには、パートナー間の緊密な連携が必要であり、ベルゲン会議はその促進を目的としています。

「らい菌発見150周年記念ベルゲンハンセン病国際会議」では、ハンセン病分野の主要な関係者が集まり、笹川ハンセン病イニシアチブが事業の柱とする、医療面、人権と尊厳、歴史保存の三つに焦点を当てたセッションを行います。

WHO事務局長テドロス・アダノム氏(ビデオ)、国連人権高等弁務官フォルカー・テュルク氏(ビデオ)、ノルウェー保健・ケアサービス大臣イングヴィル・ヒャールコール氏など、特別要人によるメッセージも予定されています。

基調講演には、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のポール・ファイン教授、ハンセン病回復者とその家族に対する差別撤廃に関する国連特別報告者であるアリス・クルス博士が登壇します。

開会式に続く、主催者代表の声明発表では、150年前にらい菌が初めて発見されたベルゲンの地に集積した人々の知識、経験、知恵を活用し、「ハンセン病との闘いの最後の1マイル」を完成させるために勢いをつけたいと述べられる予定です。

会議では、学術セッション(https://hansen2023.org/academic-poster-session/)と、ハンセン病の当事者団体によるベストプラクティスセッション(https://sasakawaleprosyinitiative.org/latest-updates/initiative-news/3938/)からなるポスター展示も行われる予定です。

また、日本音楽財団の協力のもと、ストラディバリウスのミニコンサートも開催されます。音楽財団は、日本財団の姉妹財団で、日本財団会長の笹川陽平はWHOハンセン病制圧大使も務めています。

プログラムの内容や申し込み方法など、イベントの詳細は https://sasakawaleprosyinitiative.org/latest-updates/initiative-news/3515/ をご覧ください。

ハンセン病について

ハンセン病は、らい菌が主に皮膚や神経を侵す慢性の感染症です。コロナウイルスのパンデミックにより新規患者発見活動が停滞する以前は、年間20万人余りの新規患者数が報告されていました。治療法が確立された現代では薬を服用すれば治る病気ですが、治療の開始が遅れたり、治療を中断したりすると、抹消神経が障害を受け、手足・顔面の知覚麻痺や筋力低下などの身体的な障害につながることがあります。推定300万~400万人がハンセン病によって何らかの障害を持ちながら生活していると考えられています。また、ハンセン病は治る病気にも関わらず、多くの回復者およびその家族が、ハンセン病に対する社会の根強い偏見や差別に今なお苦しんでおり、教育や雇用、社会参加の機会が制限されるなどの問題が残っています。

笹川ハンセン病イニシアチブについて

笹川ハンセン病イニシアチブは、笹川陽平WHOハンセン病制圧大使と笹川保健財団および日本財団がハンセン病のない世界の実現を目指す戦略的アライアンスです。笹川大使および大使が会長を務める日本財団(1962年設立)と、ハンセン病対策に特化した財団として設立された笹川保健財団(1974年設立)は、50年近くにわたり世界各地でハンセン病対策に取り組んでいます。「医療面」では、1975年以降、WHOを通じて世界各国政府によるハンセン病対策を支援しており、その累計は約2億ドルにのぼります。また、「社会面」については、日本政府などと連携し、国連総会における「ハンセン病患者・回復者・その家族らに対する差別撤廃決議」の採択(2010年)や、国連人権理事会を通じた国連ハンセン病差別撤廃特別報告者の設置(2017年)に大きく貢献しています