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【読書会】文学作品を通してハンセン病を学ぶ 

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ハンセン病と聞いて、何を想像されますか?差別?隔離?人権侵害?どれも事実です。
でもハンセン病にかかった人たちは、差別や人権侵害の被害者としてだけの人生を送ってきたわけではありません。
隔離の生活の中でも、豊かな文芸・芸術活動を続けてきた方もおり、労務外出や社会復帰で外の世界と触れたり、戻って行った人も、そして療養所の周辺の人たちが、お茶栽培や養豚の技術を教えに来てくれることもありました。
差別も隔離も人権侵害もすべてあった。でもそれだけの人生だったわけではないことを忘れてはならない、という思いから、ハンセン病にかかった人たちが書かれた素晴らしい文芸作品を通して、ハンセン病とそれを取り巻く世界を理解し、読み解いていこうとしている人たちがいます。
それが【読書会】です。
東京の読書会はまだ1回目が終わったばかり。
次回は2013年7月6日に池袋で開催予定で、風見 治さんの「鼻の周辺」を読むそうです。
ハンセン病の後遺障がいを取り上げ、家族との関わりに触れながら、一人の人間の感情の揺らぎを描いた「鼻の周辺」。ハンセン病にかかった人が、それぞれ被害者として生きているだけではないことがよく分かります。
同様のことは多くの人が言っていますが、6才でハワイのカラウパパ療養所に送られたバーナード・K・プニカイアさんはこう言っています。
たった一つの病気によって、私たち自身を、そして私たちの人間性を他人に決められることを、断固として拒否しようじゃないか
We refuse to allow others to define ourselves, our humanity, by a disease.
Bernard K. Punikai’a
今後の【読書会】も楽しみです。

【読書会】についてQ&A
<なぜ【読書会】?>
ハンセン病者がどのような生を生きてきたのか、そのさまざまな痕跡をさぐるために彼らが遺した文学作品に触れ、それを通して多様なハンセン病者の世界を知るというのが目的です。
<どこでやっているの?>
現在は静岡県の駿河療養所と、東京(場所はその都度変わります)でおこなっています。駿河では年に4回程度、東京では年に5~6回を予定しています。
<何を読むの?>
駿河療養所で定期的に行っている読書会では、小泉孝之さんの書いた小説を読んでいます。小泉さんは全国のハンセン病患者協議会の会長を長くつとめた方です。今後、駿河にいたほかの書き手の作品も読んでいく予定です。
東京での読書会ではテーマ設定をして、それに沿って作品を選定し読もうと思っています。たとえば療養所内における恋愛と性、結婚、断種や失明といった経験、演劇などの文化活動、患者作業、労務外出、社会復帰、女性、こども、在日朝鮮人、療養所内の精神病棟・結核病棟etc テーマはいくらでもあります。作品はこれまでに刊行された単行本だけでなく、全園の機関誌、文芸同人誌に掲載された作品から選ぶ予定です。