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【世界のハンセン病シリーズ】人間とチンパンジーの関係は…

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財団ビルで行われた湯浅洋先生のセミナー。

ご存知の方も多いと思いますが、湯浅先生は英国エジンバラ大学医学部卒業後、英国ハンセン病ミッションやWHO、国際ハンセン病学会会長などを歴任、笹川記念保健協力財団では1975年以降現在まで、医療部長、常任理事、顧問、専門家として、第一線で世界のハンセン病問題に取り組んでこられました。
今回は、ハンセン病の治療法が確立する前、そして治療法の開発、普及に至るまでと、様々な話題を1時間に凝縮してお話頂き、非常に充実したセミナーとなりました。
その中でもユニークだったエピソード2つご紹介します。
①らい菌(ハンセン病を引き起こす菌)と結核菌の関係は、人間とチンパンジーのようなもの
②ハンセン病治療薬の1つ、クロファジミンは、ゴキブリの大好物だった

①らい菌と結核菌の関係
えっと驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、ハンセン病を引き起こすらい菌と、結核菌は、同じ祖先を持つが独自の進化をし、別の菌になりました。これを湯浅先生が、同じ祖先を持ち独自の進化をした、ということで人間とチンパンジーのようなもの、とたとえられました。
ちなみに、結核菌を発見したのはA.コッホで、らい菌を発見したのはA.ハンセン。それにもかかわらず、結核のことはコッホ病とはいわないのは変ですねぇ、赤痢菌の場合も、発見者の志賀博士の名前をとって志賀病とは言わないし…と先生が呟いていらっしゃいました。確かにそうですよね。

②ゴキブリ大好き、クロファジミン
一説によると、ゴキブリは油が好きなんだとか。クロファジミンは、粉のままだと体に吸収されにくいため、油で練ってカプセルに入れてあるそうです。だからなのか、薬をその辺に放置してしまうと、あっという間にゴキブリに持っていかれてしまうとのこと。ハンセン病の有効な治療方法が確立したばかりの頃、湯浅先生たちは薬をどうやって効率的に保管し、飲み忘れのないように工夫するか、苦心されたそうです。
その結果生まれたのがブリスターパック

裏側に、1日目、2日目と書いてあり、毎日1錠ずつ飲んで行けばよいようになっています。
また、天井の柱からぶら下げられるよう、穴があいているので、ゴキブリやネズミに食べられる心配もない上、目につきやすいところに下げられるので、本人の飲み忘れを防いだり、家族が気付きやすいとのこと。面白いですね!

一番忙しかった時期には、1年のうち3分の2は海外を飛び回り、ハンセン病の治療普及にとりくんでこられた湯浅先生。まだまだ面白いお話がたくさんあるそうなので、またお話を伺う機会を作れたら、と考えています。