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家族「再会」プロジェクト

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日本と同じくハンセン病に対し隔離政策が取られたブラジルでは、2007年から回復者に対する国家賠償が始まりました。そのブラジルで、ハンセン病によって引き裂かれた家族の絆を取り戻す取り組みが始まっています。ブラジルでは、療養所の入所者の親のもとに生まれた子どもが出生直後に養子に出されたり、発病した親の入所の際に里子に出され、両親や兄弟を知らない、または自分の家族は分かっているのに、その関係を正式に証明することができない家族が多くいます。
2011年、国家研究委員会の研究助成を受けて、ブラジル国立集団遺伝子医療機関は、DNA鑑定によって家族の絆を取り戻す協力をすることになりました。プロジェクトは名付けて「 Reencontro(再会)」。これまでに鑑定を受け、家族の絆を取り戻すことができた人たちは、12州で200人。今回の研究助成でカバーできるのは、1,000人のDNA鑑定だけですが、ブラジルの回復者ネットワークであるMORHANによると、1万人以上がハンセン病により家族から引き離されているそうです。DNA鑑定がメディアに取り上げられることにより、ハンセン病問題に対する一般社会の認識も改められてきているそうです。
ブラジルのハンセン病問題に取り組んできており、今回のDNA鑑定を行っているブラジル国立集団遺伝子医療機関で勤務する遺伝学者である ラビニア・シューラー・ファッシーニさんはこう言います。
「あなたの両親/子ども/兄弟がいました、と伝えることができるのは、素晴らしいことです。これまでで最も感動的だったのは、アクレ州で、父親と息子と思われる2人の鑑定結果を伝えたときでした。息子に、確かにその男性はあなたの父親であるという証明を渡すと、彼は泣き始めたのです。父親だった男性は鑑定の後に亡くなっていたのです。それでも、胸を張って父の息子として墓参りができることを嬉しく思うと言っていました。SF映画などを見て、一般の人は、遺伝子にはあまりいい感情を持っていないようですが、この「再会」プロジェクトを通じて、当時の科学的な前提によって隔離され、家族から引き離されたその人たちの、失われた家族を捜すために、また、科学が役に立っているということを知っていただけたらと思います。損なわれたものすべてを取り戻すことはできません。それでも、何かを取り戻すことができる、それが科学者としての私の喜びでもあります」
これは、WHOハンセン病制圧特別大使ニュースレターの62号の抜粋です
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なお、本文は英語です。