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2022年度助成事業報告: コロンビア ハンセン病当事者組織 Felehansen(フェレハンセン)の基盤強化

フェレハンセンは、コロンビア国内の9つの地域でそれぞれ活動をしていたハンセン病当事者団体が、ドイツ救らい協会コロンビア(以下、DAHW)の全面的な支援を受け、2014年に全国連盟として組織化したものです。設立後、回復者による早期発見活動、患者の治療付き添い、セルフケアグループへの支援、啓発活動、ハンセン病医療・福祉サービス向上のための政府への提言、小規模融資による生計向上支援など複数の活動をしてきましたが、事務局機能が十分に整備されていないという課題がありました。そのため、笹川保健財団は2019年より、フェレハンセンの組織基盤と幹部の能力強化を図る事業を支援してきました。

これまでフェレハンセンの運営を支えてきたDAHWが2023年にラテンアメリカから撤退するため、フェレハンセンが、自立して組織運営を行うためのマネジメント力やリーダーシップ力の向上、組織の持続可能性の確保など、実践的な組織強化が急務となり、2022年度は、DAHWの協力のもと、団体の幹部の実践的な能力開発研修を実施しました。

事業の柱として、「変化の理論」、「アクターの特定」、「事業形成と管理」、「評価と学習モデル」の4つのテーマでワークショップを開催しました。「変化の理論」では、アクションプランを論理的に設定し、具体的に達成する方法を学習しました。また、「事業形成と管理」では、事業を形成・改善し、国内外から資金を得る方法を学びました。これらのワークショップには、9つの団体からマネージメントレベルの代表者約20人が参加しました。研修終了後、参加者たちは少人数のメンターシップ・グループで継続的な指導と支援を受けました。

ワークショップ「評価と学習モデル」 、能力開発トレーニングに関する4つのワークショップのうちの1つ。2023年2月、ボゴタ
「評価と学習モデル」ワークショップ、2022年11月2-3日、セサール州バジェドゥパル

ワークショップと平行し、国内のイベントへの参加を通じ、啓発活動と様々なステークホルダーとのネットワークの形成を図りました。22年6月のサンタンデール市での支援ネットワーク形成のイベントや、23年2月には世界ハンセン病の日の記念行事として、ボゴタ市で開催されたハンセン病に関する展示会や、フェデリコ・ルレラス・アコスタ研究所(コロンビア国立皮膚科研究所)での会議に参加しました。

ハンセン病に関する展示会。フェレハンセンのリーダーらが参加し、ハンセン病に対する地域社会の認識を高める一助となった。2023年2月、ボゴタ

また、フェレハンセンの活動を国内に広く周知するための広報活動を推進しました。ウェブサイト(現在は休止中)のデザインを一新し、笹川保健財団の代表者の訪問、ボゴタでのフェデリコ・ルレラス・アコスタ研究所の会議への参加、バチカンでの国際シンポジウムへの出席、国連の普遍的・定期的レビュー(UPR)への出席などのイベントやフェレハンセンの活動に関するニュースを掲載しました。さらに、ボゴタで開催されたワークショップでは、フェレハンセンの活動やリーダーのエンパワーメントを紹介する3本の動画を制作しました。動画は、フェレハンセンのメンバーが参加するさまざまなイベントで紹介されました。

フェレハンセンのウェブサイトでは、2023年1月にバチカンで開催されたシンポジウムなど、イベントのニュースを掲載している。(現在、休止中)
ワークショップでは、フェレハンセンの作品を紹介するビデオが制作された。

今後の課題として、コロンビアの税務署からNPOとしての認証を受けるには、年次報告書の提出と財務記録の管理、期日までの年次総会の開催などが必要ですが、2022年は、連盟の9団体のうち認証を得られたのは2団体のみでした。今回のワークショップなどの能力強化研修の知識を生かし、より多くの団体の認証取得が目標とされます。

この事業を通じ、フェレハンセンは、自主性、リーダーシップ、協調性を育み、能力強化を実現することができました。笹川保健財団は、ハンセン病当事者団体を取り巻く状況が変化している中、当事者団体がハンセン病に関する問題解決において重要な役割を担えるよう、団体のメンバーそれぞれが考えを深め議論する機会を設け、能力強化ができるような事業を今後も支援していきます。