JP / EN

News 新着情報

【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター121号】好機をつかみ、ハンセン病対策を推進する

WHOとのパートナーシップ開始当時の写真。笹川良一氏(左)とハーフダン・テオドール・マーラー博士(右)。マーラー博士は1973年から1988年まで世界保健機関(WHO)の事務局長を3期務めた。

私はこれまでハンセン病対策をバイクに例え、前輪を病気の制圧、後輪を差別の撤廃と位置づけ、様々な活動を主導してきた。その一例として頻繁に挙げられるのが、後輪部分での活動、すなわち私が国連人権委員会(現人権理事会)で初めてハンセン病と人権問題について提起したことや、国連総会において「ハンセン病差別撤廃決議」の採択に貢献したことなどである。

前輪部分の活動に関し、2025年は日本財団・笹川保健財団が世界保健機関(WHO)を通じて各国政府のハンセン病対策支援を開始してから50年となる。これまでの財団の総支援額は約2億ドルにのぼるが、この金額はWHOの直近の予算(2024-2025年度)が2年間で68億3000万ドルであることを考えると、決して大きな金額ではない。ここで強調したいのは、私たちが半世紀にわたり、一つの疾病対策を継続して支援してきたことである。その結果、テドロスWHO事務局長も認めているように、ハンセン病を終わらせるために、ようやくあと一歩のところまでたどり着くことが出来た。

しかし、パンデミックの影響により、多くの国々でハンセン病対策が後退したため、今後各国の保健省には一層の努力が望まれる。私は、より多くの国を訪問し、各地での活動強化に貢献していきたいと考えているが、ラストマイル達成に向けて、私自身の大使としての役割を再認識する必要もある。

「ハンセン病制圧大使ブリテン」では、本号より1年間にわたり、各界の有識者より、ハンセン病のない世界を実現するために、私たちの支援にどのような意義があったのか、そして今後私たちに求められる役割は何かなどの点について意見を拝聴する場を設けていきたい。第一弾として、今号では1998~2003年にWHO感染症担当局長を務め、公衆衛生上の問題としてのハンセン病制圧を実現するために陣頭指揮を取られたデイビット・ヘイマン博士をお招きした。是非ご高覧いただきたい。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平