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【プレスリリース】2024年ミス・スプラナショナルと連携し、インドネシア・南スラウェシ州でハンセン病啓発活動を実施

笹川ハンセン病イニシアチブ(イニシアチブ)は、2024年ミス・スプラナショナルの優勝者であるハラシュタ・ハイファ・ザハラさんの協力のもと、インドネシア・南スラウェシでハンセン病啓発活動を実施しました。この活動は、ハンセン病当事者団体のペルマタ・インドネシアおよびその支援団体であるヤヤサン・デジカシ・チプタ・インドネシア(YDTI)と共同で行われました。

ジョンガヤ・ハンセン病集落の住民とペルマタのメンバーは、ハイファさんを熱烈に歓迎しました。

イニシアチブは、ハンセン病のない世界を実現することを目指し、WHO、ハンセン病蔓延国政府、国際NGO、ハンセン病当事者団体など、幅広いステークホルダーと連携して活動しています。2021年には、新型コロナウイルスの影響でハンセン病問題が置き去りにされないために、「Don’t Forget Leprosy(ハンセン病を忘れないで)」キャンペーンを開始し、現在もコロナ禍による混乱からの各国のハンセン病対策プログラムの再建を目指してキャンペーンを継続しています。

ミス・スプラナショナルは、2009年にポーランドで始まった国際ビューティーコンペティションで、「地域社会に根ざした奉仕活動」という特徴的な取り組みを持ち、社会貢献を美の基準としています。すべての参加者は、最も価値のある資源である「時間」を活用して、コミュニティに貢献することが奨励されています。

2023年以降、ミス・スプラナショナルの優勝者はイニシアチブと協力し、ハンセン病問題啓発のためにそのグローバルな影響力を活用しています。イニシアチブの南里隆宏理事長は「ハンセン病の正しい知識を広げるために、啓発の裾野を広げていくことは非常に重要であす。ミス・スプラナショナルの協力により、より広範な人々にアプローチできることに感謝しています。」と述べています。

ハラシュタ・ハイファ・ザハラさんは、ミス・スプラナショナルのタイトルを獲得した最初のインドネシア人で、2003年に西ジャワ州で生まれました。現在、バンドン工科大学(ITENAS)で環境工学の学位を取得中です。

インドネシアは、世界で3番目にハンセン病の患者数が多い国であり、ハンセン病当事者に対する差別が依然として深刻な問題となっています。ペルマタの南スラウェシ支部は、最も活発に活動をしている支部で、YDTIと緊密に連携して、ハンセン病への偏見や差別と闘い、ハンセン病問題に苦しむ人々に必要な支援を提供しています。

「ハンセン病当事者への偏見や差別は、10年前に比べて大幅に減少しましたが、セルフ・スティグマが大きな問題となっています。」と、ペルマタの会長であるアル・カドリ氏は述べています。ペルマタのメンバーは、ハンセン病患者の精神的および物理的なサポートを提供するために家庭訪問を行っています。

8月26日、ミス・スプラナショナルは州都マカッサルにあるジョンガヤ・ハンセン病集落を訪問しました。そこで彼女は、マカッサル保健局の局長、州および市の役人、集落の住民、ペルマタのメンバーやその他関係者と面会しました。ハラシュタさんは、ダイアナ妃がハンセン病患者に対して示した思いやりに感銘を受けた経験を共有し、自らがハンセン病に対する認識を変えるための原動力になることを約束しました。また、ハンセン病による障害を防ぐために治療を受けられない人をなくすこと、病気への偏見や差別を取り除くための努力を続けることを誓いました。

翌8月27日、ハラシュタさんはマロス地区を訪問し、地元の保健部門とハンセン病の症例管理およびサービスの質の向上に向けた戦略について議論しました。また、地元の学校で開催されたイベントにも出席し、ペルマタのメンバーと共に、生徒達がハンセン病問題について学び、コミュニティにおける偏見・差別を減らす一歩としました。

ハラシュタさんが母国インドネシアでハンセン病問題の啓発に取り組む姿勢は、インドネシアのハンセン病問題解決に向けた大きな進展であり、イニシアチブはハラシュタさんが2024年のミス・スプラナショナルとしての任期中に、他の国々でも一緒に活動できることを期待しています。

笹川ハンセン病イニシアチブについて

笹川ハンセン病イニシアチブは、笹川陽平WHOハンセン病制圧大使と笹川保健財団および日本財団がハンセン病のない世界の実現を目指す戦略的アライアンスです。「医療面」では、1975年以降、WHOを通じて世界各国政府によるハンセン病対策を支援しており、その累計は約2億ドルにのぼります。また、「社会面」については、日本政府などと連携し、国連総会における「ハンセン病患者・回復者・その家族らに対する差別撤廃決議」の採択(2010年)や、国連人権理事会を通じた国連ハンセン病差別撤廃特別報告者の設置(2017年)に大きく貢献しています。さらに、ハンセン病当事者をハンセン病問題解決の重要なアクターであるとし、1990年代以降、22か国で37のハンセン病当事者団体を支援してきました。

ハンセン病について

ハンセン病は、らい菌が主に皮膚や神経を侵す慢性の感染症で、年間20万人程度の新規患者数が毎年報告されています。治療法が確立された現代では薬を服用すれば治る病気ですが、治療の開始が遅れたり、中断したりすると、抹消神経が障害を受け、手足・顔面の知覚麻痺や筋力低下などの身体的な障害につながることがあります。推定300万~400万人がハンセン病によって何らかの障害を持ちながら生活しているとみられています。また、ハンセン病は治る病気にも関わらず、多くの回復者およびその家族が、社会の根強い偏見や差別に今なお苦しんでおり、教育や雇用、社会参加の機会が制限されるなどの問題が残っています。