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ネパール出張記~お祭り~

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みなさん、この牛さん、なぜピンクになっているかわかりますか?

私は人からいたずらされて、こんな姿になってしまったのか、と心を痛めて見ていました。すると、驚いたことに、全くの逆で、記念日の到来に伴い、牛を崇めているからだそうです。
ネパールでは、ヒンドゥー教、仏教、ラマ教、キリスト教、イスラム教など、さまざまな宗教の方がいらっしゃいます。その中でも、ヒンドゥー教の方が11/12~15は、記念日のため、牛などの宗教上尊敬の対象となる動物をピンクなどの明るい色で染めて尊敬の念を示すとともにお祝いしているのだそうです。
この3日間は、ヒンドゥー教の方は、家族で集まり、お姉さんから弟さんへ贈り物を贈るのだそうです。現地の方にその由来を尋ねると、その起源となるヒンドゥー教の説話を教えてくれました。― 昔、仲の良い姉と弟の姉弟がいました。姉はのちに遠くの町へ嫁ぎに行きますが、そのすぐ後、弟は体調を崩し危篤状態に陥ってしまいます。姉は心配し弟のところへすぐに戻りました。弟の看病をしていると、弟にとりついていた悪霊が突然目の前に現れました。姉は弟を奪われまいと、弟の寝床の周りに油をかけ火を灯し、火の輪の中に弟を置きました。「この火が消えたら弟を死後の世界に連れていってもいい、しかし、それまでは待ってほしい」と悪霊に訴えたのでした。悪霊は姉の願いを聞き、火が消えるのを待ちました。しかし、油は盛んに燃え、一向に消える気配はありません。しびれをきらした悪霊は、待ち切れず、そのまま退散していきました。こうして、姉の勇敢な行動は、弟を守ったのでした。
このような説話から、結婚後も末長く姉妹と兄弟が仲の良い関係でいることを確認し合い、家族愛を確認する日として、今日まで姉から弟へあるいは妹から兄へ愛情を示しつつ健康と成功を期して花輪や食事などさまざまな贈り物を贈るのだそうです。

お姉さんから花輪の首飾りをもらい笑顔のラメシュさん

私が協力団体Nepal Leprosy Trustを訪ねた日は、11月15日でちょうどその記念日でした。いつもは真面目で仕事熱心なSER(Socio Economic Rehabilitation)部門のリーダーを務めるラメシュさんも、午前中にお姉さんから花輪の首飾りをもらい、午後には「これから妹に会いにいくのだ」と、少し照れつつも満面の笑みで、話してくれました。
ネパールの姉妹と兄弟の家族愛が、末長く続くように祈りたいと思います。