23号 大使メッセージ:車の両輪
世界からハンセン病をなくすため、ハンセン病の医療面と社会面の双方への取り組みが求められます。この二つは車の両輪です。この病気に取り組んできたすべての医療関係者の努力が実り、公衆衛生上の問題としてのハンセン病の患者数はめざましく減少しました。しかし、残念ながら、スティグマと差別の問題は根深く残っています。
最近まで、ハンセン病の社会的側面に積極的に取り組んできた人はほとんど見られませんでした。このため私は、国連人権委員会に対する働きかけを開始し、また更に、グローバル・アピールを起案し、11人の世界的指導者たちから賛同の署名をいただくことができました。
インドでは、国内にあるハンセン病コロニーの実態調査を行い、回復者の全国組織を形成する提案を行い、また、国内の回復者を集めた回復者代表会議の開催を呼びかけて昨年の12月に第一回会議が開かれました。去る10月4日には、第二回ハンセン病回復者代表会議が、再び首都ニューデリーで開催されましたが、インド各地のコロニー指導者達が回復者を代表して現状改善を訴え、その訴えに対して、出席された副大統領もデリー州首相も深い理解を示されました。
しかし、残念なこともありました。この会議に全国から参集した回復者のために、首都のホテルを予約しましたが、このホテルは滞在するのがハンセン病の回復者(lepers)と知り、一方的に宿泊予約のキャンセルを通告してきました。言うまでもなく、この出来事は回復者代表たちをひどく失望させました。
一方、この会議は、副大統領の出席により、政府要人の出席がなければ使用できない国立会議場で初めて開催されました。出席した回復者たちは一様にその喜びを語りました。「われわれは以前ならここに近づくことさえ遠慮してできなかった。それが、私達自身の会議を私達が主役でこの場所を使って開催できるなんて夢のようだ。」と。
しかし、もうすべてが夢ではなく現実なのです。回復者たちがスティグマや差別に苦しむことのない社会を自分達自身でつくることが可能になったことは大変喜ばしいことです。彼らは、これまで政府に対して多くの要請をしてきましたが、いま自助努力を基本姿勢として取り組むようになりました。大いに敬意を表します。
各地のハンセン病回復者の皆さんがさらに強固な組織を作り、自分達自身の運動を進めてゆけるようお手伝いしたいと思います。
WHOハンセン病制圧大使 笹川 陽平
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