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21号 大使メッセージ:ハンセン病の社会的側面

6月にブラジルを訪問しました。ブラジルは有病率が人口1万人に対して1.49人まで下がり、病気の制圧は今年末か来年初めには達成できるのではないかと期待されます。そして、医療面だけでなく社会面においても、ブラジル政府は、ルラ大統領のもとに、ハンセン病回復者の社会的復帰を進めるための特別委員会を組織して活動を始めました。この委員会には、保健省のみならず、法務省、文部省、人権委員会などさまざまな省庁の担当者、NGO関係者が加わり、回復者の人権問題の解決に努力することになります。この委員会が、私が提唱したグローバル・アピールをきっかけにして、大統領令でつくられたことを知り勇気づけられました。

ブラジルでも差別の問題はまだ深刻です。この旅で訪れたアマゾンの人里離れた場所でも、周囲の目を恐れて自分の発病を隠し、名を伏せて別の場所で治療を受けている人々に会いました。離婚した夫婦の子供の親権問題、財産の相続問題など、ハンセン病が理由で人権の侵害を受ける例は数多く存在します。

この人権問題の解決に向けて私が国連人権委員会に働きかけて昨年小委員会で決議を得たことはご報告してきました。このたび委員会は理事会へと改組され、人権問題のリストに新たな見直しがなされようとしています。グローバル・アピールでも訴えたことですが、国連人権理事会が、早急にこの問題を政府代表間の正式議題として取上げ、有効なガイドライン策定などの措置をとって、世界中の政府に働きかけて、ハンセン病に対する誤った認識(misperception)をなくし、回復者やその家族に尊厳(dignity) を取り戻す(regainする)ことを助け、社会に再び迎え入れる(reintegrateする)動きを加速させることを望みます。

前号でも触れましたが、私のWHO大使としての新しい職務にスティグマと差別をなくす活動が含まれることとなりました。これは、WHOが、いままでのように医療面のハンセン病の制圧のみでなく、社会面におけるスティグマや差別をなくすることに乗り出したことを意味します。今、この病気との闘いには、医療と社会の両面からの対応が欠かせません。人権理事会を動かすために、社会を動かすために、WHO、関係各国の政府、NGO、そして回復者組織などの総合的な力が必要とされています。皆さんの理解と支援を強くお願いしたい。

WHOハンセン病制圧大使  笹川 陽平

21号PDF

Message:The Social Aspect of Leprosy(ハンセン病の社会的側面)

Nepal Report

Global Leprosy Forum

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