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02号 大使メッセージ:縦割から横断型へ

 ミャンマーは、2003年の1月にハンセン病を制圧しました。ミャンマーでの成功の鍵はなんだったのでしょうか?

第一に強固な政治的意志、すなわち政治指導者が、制圧の闘いに揺るぎのない強い意志をもって臨んだことです。そして、もう一つの成功の鍵は、ハンセン病を一般医療の枠の中に早い時期から統合(インテグレーション)したことです。ハンセン病の専門家のみならず、助産婦や地域保健ボランティアのように非専門家をも幅広くハンセン病制圧活動に取り入れたことが成功の大きな要素となりました。

私は、ミャンマーがハンセン病に打ち勝つ代表的な成功例を示してくれていると確信します。ミャンマーは、ハンセン病を専門とする組織や人々による縦型の(vertical)活動の構造を、医療活動に携わるより幅広い分野の組織や、メディア関係者やNGOのネットワークを巻き込んだ横に広がる(horizontal)活動の構造へと変化させました。これらの人々は、ハンセン病が治る病気であり、恐ろしい病気ではないということを広く国民の間に浸透させました。そして、このことが、一般社会に届く効果的な医療活動を可能にしたのです。このインテグレーション(統合)が、ミャンマーの制圧成功の秘訣であり、これは、いまだに有病率の高い他の国々のためのよきモデルになり得るものです。

私は、この縦から横への広がり、すなわち、特殊なものを特殊なものとして特別扱いするのではなく、もっと広い範囲の普遍的な活動へのインテグレーションを進めるアプローチが重要であると考えます。この転換は、広範囲な組織や人材に制圧活動への参加を可能にしますが、これは、有病率を下げるということだけでなく、ハンセン病に対する社会的な烙印を制圧するという目的の上に立脚するものです。ハンセン病が治る病気であり、治療は無料であり、患者に対する差別は許されないというメッセージを、公教育、マスメディア、そしてハンセン病に直接関係のない広く一般の NGOの活動を通じて社会のすべての人々に伝えてゆかねばなりません。すなわち、医療サービスのインテグレーションと、多様な組織を巻き込んだ差別をなくすための社会啓蒙活動のインテグレーションへ、ハンセン病制圧のためのわれわれの活動を大胆に進めてゆかねばならないのです。