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フィリピンで職業技能習得支援を行っています。

2018.11.30

フィリピンでは1906年のクリオン島ハンセン病療養所の開設に始まって全国に8国立ハンセン病療養所が設立されました。1998年にフィリピンは公衆衛生上の問題としてのハンセン病の制圧を達成しましたが、現在でも毎年2000人弱の新たな患者が出ています。一方でフィリピンでは教育は地域的なばらつきが大きく、平均として38%程度が小学校も卒業していません。各療養所に近い地域はさらに悪い状況で、特にムスリム・ミンダナオ自治区(スールー療養所付近)では6割が小学校も卒業していません。また、ミマロパ(クリオン療養所付近)、ビコール(ビコール療養所付近)、サンボアンガ(ミンダナオ中央療養所付近)、西ヴィサヤ(西ヴィサヤ療養所付近)、中央ヴィサヤ(エバースレイ・チャイルズ療養所付近)、ソクサージェン(コタバト療養所付近)でも小学校卒業以降に学校教育を受けていない人口が5割から6割強と、最終学歴が相対的に低くなっています。ましてや高等教育や職業技能の機会は地理的、金銭的に多くのハンセン病回復者やその子女には手に入れがたい状況になっています。

このような状況を踏まえて、当財団は、2017年9月から2019年3月までの1年半でフィリピン国内の療養所付近のコミュニティで暮らす回復者やその子女たちに対して、ハンセン病による偏見や貧困の連鎖を断ち切ることを目的に、一般社会で安定した職業につく手段としての高等教育や政府認定の資格がある職業技能の習得支援をフィリピンの各地域で活動しているハンセン病回復者団体とそれらを統括しているハンセン病当事者ネットワーク団体のCLAP(クラップ)を通して行うことにしました。

 
まだ足踏みミシンも現役で使われています
縫製業の訓練の様子
 

2017年9月から2018年8月は、訓練費のみならず、訓練に伴う交通費や諸経費を賄うための支援をマニラの2団体、西ヴィサヤの1団体、ミンダナオの1団体、コタバトの1団体を通して合計72名に1人当たりおおよそ日本円で5000円から2万円程度の奨学金が付与されました。これらの訓練生は、主に、紳士服仕立て業、婦人服仕立て業、高速縫製業、美容業、家事代行業、そして洗剤製造技能の訓練を行いました。
2018年9月から2019年3月にかけては、さらに80名程度のハンセン病回復者やその子女たちの支援を行う予定です。

洗剤製造技能養成講座受講者たち