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自分のこととして考える 公開講座 2019 Vol.2 ご報告

公開講座「”重度障害”と生きる~みなでつくる明るい未来~」

2019年度2回目の公開講座「“重度障害”と生きる」に、保健・福祉関係者、当事者とご家族、学生他この分野にご関心を持たれている方々100名余が参加下さいました。

挨拶する会長 喜多 悦子

第1部の発表者は3人。まず、ALDの未来を考える会(http://ald-family.com/)理事長 本間りえ氏が、ごく普通の幸せな家庭の妻、母、主婦であった女性が、ご令息の副腎白質ジストロフィー発病によって、その後、どのような人生を送られたのか、愛息コウチャンへの想い、会の活動、ボランティアへの感謝、ご自分の闘いと想いを語られました。

2人目は、「骨形成不全症」で、生まれた時から骨折を繰り返しながらも、電動車いすを駆って世界に出かけ、今は二児の母でもあるコラムニスト伊是名夏子氏(http://blog.livedoor.jp/natirou/)が、障害を持って生きてきた側からの疑問、支えて下さるヘルパー連への感謝、偏見への想い、ご自分の生き方を語られました。

3人目は、当財団の「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」研修2期生で、神奈川県湘南で在宅看護センターを開業して3年半の岡本直美氏(http://lanacare.jp/)が、障害を持ったご家族とのかかわりを、その当事者二家族とともにお話し下さいました。

本間りえ氏

本間氏は、在宅医療の壁を感じながらも、「他力本願ではなくまずは自分から」と地域ボランティア集めに奮闘、今では多くの人に支えられています。現在は、障害をかかえた子どもがいても、元気で明るいお母さん達が各地に広がっていってくれたらと勢力的に講演活動を行い、自身も自分らしく「丁寧に生きる」ことを実践されている様子をお話下さいました。

*副腎白質ジストロフィーは、脳の中の白質と呼ばれる部分と腎臓の上にある小さな器官の働きが低下する進行性の病気。進行には個人差があるが、元気だった子どもが突然、学力低下、視力、言語、歩行に障害を発症、進行の早い場合は診断後1年以内に死亡することもある難病。

伊是名夏子氏

伊是名氏は、沖縄県出身、おしゃべり好きで楽しいことはなんでもやってみたい性格。障害を特別なものとして捉えず、海外の大学への留学。二人のお子さんを持つ100センチママ、15人のヘルパーに支えられています。ご自身が障害者ゆえに通学、結婚、出産と大きな節目に家族や友人から反対、否定的な対応の経験を通して、「大変なことをどうへらせるか一緒に考え動いてほしい」「障害を理由に、反対するのは差別」、「偏見は誰にでもある、まず自分の中の偏見に向き合いながら助け合っていってほしい」とユーモア―を交えて語って下さいました。

岡本直美氏

岡本氏は、在宅ケアに従事している看護師の立場から、医療ケアキッズ訪問へのアプローチや関わりについて、笑いを交えて共有下さいました。訪問先ご家族の歴史を鑑みながら特別扱いをせず、自宅に引きこもりがちなキッズとお母さんを散歩やお花見へ誘い、昨夏からは軽井沢キャンプに参加。不安だった当事者ご家族も、スイカ割り、お馬のり、花火と家族で夏を満喫、ご自身の言葉で感想を語って下さいました。「経験値0から1を増やそう、やりたいことをあきらめず、一つずつ経験し、積み重ねがキッズと家族の成長を促し暮らしが豊かになっていく」とまとめて下さいました。

パネルディスカッションの様子

第2部は、3名の発表者とジャーナリストの迫田朋子氏の対話。実はこんなことがあって困った、困ったことをどのようにして解決してきたか、また看護師の立場から病院と在宅のケアの違いについて率直なディスカッションを行い、参加者からもコメントや質問がもありました。

最期に主催者を代表して、当財団会長 喜多悦子が総括として参加者にメッセージを投げかけました。

 障害はいろいろある

 どういう社会を作ったら良いか

 共存があれば差別偏見が消える

 意識を変えていくにはどうしたら良いか

これからのことを実現していけるよう、地域に看護師が在宅看護センターの看板を掲げるよう「人の育成」に力を注いでいる。一緒に悩み、どこの医師にいったらよいか、そのために訪問看護のネットワークを作っており、データを収集している。

障害者と呼ばれる彼らと私たちと何か違うのか、、、差別偏見は我らの心の障害であり、差別している側こそが実は病んでいると気づく

講演終了後、短時間ですがユニークな懇親会を開催しました。車いすの参加者が、介助を受けながら乾杯し、「オモシロイ!!」と聞こえる発語をされたり、バリアフリーの貴重な場でした。

今後も、さまざまなテーマでの公開講座を行っていきたいと考えています。