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当事者の声よ届け!ブラジルハンセン病回復者団体MORHANの組織強化~2019年度活動報告②

支部強化のためのワークショップ マットグロッソ州アルタフォレスタ

ブラジルは世界で2番目にハンセン病の患者数が多い国です。年間の新規患者は28,000人程度で、これは世界全体の13%、アメリカ大陸の92%に当たります。患者は経済的に貧しく、医療機関へのアクセスが悪い北東部や中西部に集中しています。加えて、患者・回復者・その家族らに対する偏見や差別が根強く存在するため、患者は病院に行かない、あるいは行けないといった例が数多く報告されています。ブラジルでは、ハンセン病の早期発見・早期治療が重要な課題になっています。

MORHANは回復者を中心としたボランティア組織で、現在は2,000人近くの当事者、家族、学生、市民がハンセン病にかかわる偏見や差別をなくすため、メディアを通じた啓発活動、新規患者発見キャンペーン、政策レベルでのアドボカシーなど様々な活動を行っています。Morhanは、その過程でメンバーのモチベーションの高さや他組織との協力なネットワークを活かすことで、多くの成果をあげてきました。しかし、ボランティア組織であるために、持続可能な活動を行ううえでの組織運営や資金調達などに課題がありました。

そこで、笹川保健財団はMORHANの組織を強化するため、蔓延州での支部の強化、ボランティアの研修、メディア活動を支援しました。

各支部が法人格を取得することが出来れば、登録された自治体の保健審議会へMORHANのメンバーを送り、政策決定に当事者の声を反映することが可能になります。また、自治体から助成金を得る資格を獲得することも出来ます。事業初年度となる2019年度は、9州に12支部が設立され、そのうち4支部の登録が完了しました。

またボランティアの研修活動では、ハンセン病の医療面での課題や当事者の人権問題をテーマにした12教材が完成し、オンラインサイトを通して200人のボランティアに配信されました。

ハンセン病対策活動の中で、当事者のエンパワメントは欠かすことができません。笹川保健財団は次年度以降もMORHANの組織強化を支援していきます。