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ハンセン病への差別のない社会の実現を目指して。中国回復者団体HANDA 〜2019年度活動報告⑤

著名なアーティストが参加したハンセン病の芸術・文化展示会(於 広州、2019年7月)

中国にはハンセン病の回復者が集まって暮らす村が600箇所程あり、約2万人が人里離れた場所でひっそりと暮らしています。回復者のほとんどは高齢者で、自立した生活を送ることがままならない状態にあります。

HANDA(広東省漢達康福協会/HANDA Rehabilitation & Welfare Association)は1996年に設立され、広東省、雲南省、広西チワン族自治省を中心に回復者の経済自立支援、回復者やその子どもたちの教育支援、生活環境向上、職業訓練、啓発活動、歴史保存活動など幅広い活動を通して、ハンセン病にかかわる差別のない社会の実現を目指しています。当財団は設立当初からHANDAを支援してきました。

2019年度は、健康維持のための勉強会、ボランティアの訪問と交流、白内障の検査、義肢義足の提供、回復者の遺品・証言の収集・保存などの活動が行われました。HANDAでは回復者が理事として直接運営に関与することで、回復者主体の活動を実施するとともに、HANDAの理念に賛同した社会的に影響力のある人間を理事として迎えることで、幅広い活動の展開を可能にしています。なかでも著名なアーティストが参加した「ハンセン病と芸術・文化」に関する展示会は、このように当事者と支援者を組織に内包するHANDAだからこそ実現できたイベントと言え、特に回復者による書道と絵画を常設展示した「アートスペース」は多くの人々の注目を集めました。さらにファンド・レージングのためのイベントやクラウド・ファンディングなど、資金調達のための活動も積極的に行われました。

ハンセン病の歴史を後世に残すことで、同じ過ちを繰り返さないよう人々に訴えかけるとともに、高齢化が進む回復者の生活環境の向上に取り組むHANDAの活動は非常に重要といえます。