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ともに学ぶ。インド南東部アンドラプラデッシュ州での教育支援~2019年度活動報告③

学校での授業の様子

インド南東部に位置するアンドラプラデッシュ州には57のハンセン病コロニーがあり、回復者やその家族は社会的・経済的に恵まれない環境での生活を強いられています。

1981年、回復者のひとりがハンセン病の患者・回復者を対象とした治療センターを設立しました。その22年後の2003年、回復者子女に平等な教育機会が与えらない状況の改善のため、同じ敷地内に回復者の家族と一般の社会の子どもが一緒に学ぶことができる学校を設立し、回復者子女には無償での教育の提供を開始しました。これらの施設を運営するのが、NGOであるGRETNALTES(Greater Tenali Leprosy Treatment and Education Scheme Society)です。

現在では幼児から中学生まで1089人の生徒がこの学校で学んでいます。そのうち94人が回復者の子女で、遠方にあるコロニーからの通学となるため寄宿舎で生活をしています。笹川保健財団は2019年から教育支援として、寄宿舎で生活するこの子ども達の寄宿費を支援しています。

回復者子女は、学校に通っていても貧困や差別などを理由に退学するケースが散見される中、今年度支援対象であった94名の生徒は、ひとりも落第することなく学校に通うことができました。生徒からも、これまで学校に通うことをあきらめていたが、この支援により、寄宿舎に住み、学校に行くことができて嬉しいという声が多く届いています。

ハンセン病の差別をなくすためにコロニー出身の子どもと一般社会の子どもが共に学ぶことは非常に有効です。また、回復者の家族が十分な教育を受けて、社会で自立して生活を送ることで、コロニーの貧困問題が解消することが期待できます。1日でも早いハンセン病による差別のない社会の実現のためにも、回復者の子どもたちが社会にはばたくことを願って、この支援を続けていきたいと考えています。

子ども達からの手紙(一部抜粋)

G. Usha (7年生)

Ambedkar Leprosy Colonyで父、母、祖父母と暮らしていました。
父はアイスクリームを街で売って、家族全員を養っています。収入が十分ではないので、いい学校に行くことをあきらめていましたが、GRETNALTESに入学できて無料で勉強することができることになりました。得意科目は英語です。将来は弁護士になりたいです。

Shaik Kheja Mynoddin (9年生)

Pranhpdaya Colony出身です。家が貧しいため教科書を買ってもらえず、勉強に興味を持てませんでした。両親も私を退学させようとしました。GRETNALTESでは、授業費や寮費がすべて無料で、楽しく勉強できます。すべての教科で私はトップの成績です。特に数学が得意で、将来はビジネスマンになりたいと思って勉強をしています。