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シリーズ5 在宅の仲間たち〜「岡山在宅看護センター晴(はる)」

日限(ひぎり)地蔵尊が見守る 日本財団在宅看護センター「岡山在宅看護センター晴(はる)」

事業所名:

合同会社 岡山在宅看護センター晴

所在地:岡山県岡山市北区表町

3-21-1細堀マンション201

電話:086-201-3986

開業:2015年3月17日

代表社員:赤瀬佳代 (起業家育成事業1期生)

Facebook:岡山在宅看護センター

もう5年前になります。看護が独立して、あるいは自立した看護師が病気を持った人々の生命と健康をどのように護ればよいのかと思い悩んでいたこともあって、日本財団在宅看護センター起業家育成事業研修を受講する決心をしたのは。

思えば、8ヵ月の研修は長くも短くもありましたが、2015年1月、開業計画・・・というよりは10年後までを想定した開業・運営計画を発表しました。そして、2ヵ月後の3月に合同会社「晴」を立ち上げ、実際の訪問活動を7月に開始しました。2018年3月17日に会社設立4年目を迎えます。現在のスタッフは看護師9、事務1名で、石の上にも3年と申しますが、漸く思い描いていたものが形となってきたのを実感しています。訪問看護の利用者数も、お蔭様で1ヵ月100名に近づき、ご縁を頂いた方々はもうすぐで200名となります。

予防から看取りまでを支えたいとは思いますが、振り返ると何と多くの方をご自宅でお看送りしたことでしょう!それぞれの方が望む所で、望むように生をまっとうされるお手伝いが出来ること、それこそが私たちの働き続ける大きな原動力です。最近では、“いざという時に備えて!”と、予防と緊急のためでしょうか、介護度の低い方からの訪問依頼が増えてきています。時代の流れでしょうか。

「晴」では、地域の方々が一日一日を健やかに過ごされることをお手伝いするため、2015年11月から、毎月1回の「いきいきサロン晴れ晴れ」を開始しています。最近は、毎月20名程度の常連ご近所様が参加下さいます。ここでは、岡山市推奨の介護予防体操「あっぱれももたろう体操」や時期に応じた健康講話などを行います。地域と繋がることで、ちょっとした困りごとがあった時、相談しあえる関係、繋がりが築けてきていると実感します。次なる展開は、本年4月から、このような地域活動を近隣ステーションと協働実施することで、支援地域と機会を拡大したいと考えています。

最近は、病院サイドでも在宅/訪問看護との連携が重要になってきていると聞きます。「晴」では、2016年9月から、近くの大規模医療施設である川崎医科大学総合医療センターと提携を開始しました。すなわち、同医療センターから、長期の看護師出向を受け入れています。病院側からみた目的は、在宅療養支援を理解し、真に利用者に益する退院・外来支援の実践ができる看護師育成にありましょう。当方にとっても、在宅でのケア・看護と病院でのそれを双方向で理解し合い、病院側からも在宅ケア側からも、共によりスムーズな連携がとれるようになってきたと強く感じています。

さて、このシリーズも5番目なので、少し、研修の効果、つまり何が良かったかを振り返ります。8ヵ月研修の大きな学びは、既に起業家看護師としての経験をもち、困難な時代を切り開いてこられた先輩方の実践を学べたことにあります。確かに、現在は比較的起業しやすい時代になっています。それでも、振り返れば、今日にいたるまで、実に沢山の困難苦しみがあったのも事実です。そんな時、先達からご教示いただいたご経験と置き換え、また、各種の示唆からも考え、困難を乗り越えるための冷静な目、耐える精神力、切り開いていこうとする意志を培ってこられたのだと申せます。研修内容もさることながら、この間にめぐりあった人々との繋がりこそ起業後の大きな支えであり現在の財産になっていると言えます。

事務所の斜め向かいには、有名な「大雲寺 日限(ひぎり)地蔵尊」がおわします。私の一日は、毎朝、出勤時に、この柔和なお顔のお地蔵様にご挨拶することから始まります。苦しい時の神頼みではありません。今日も一日恙なく終えられることを祈りますとともの、初心を全うできることの決意表明です。

ひとつひとつの事業所ができることは限界があります。が、日本財団在宅看護センター起業家育成事業のモットーである「看護師が社会を変える」のように、「晴」からの発信も、少しずつ、地域の皆さまに浸透しているように思います。それは、看護というものが、病気を治す=医療とともに、例え病気があろうとも、生きてゆく=生活の双方を把握するものであり、それが故に、利用者様目線の実践につながるからではないでしょうか。病める人、高齢者、障害者も含め、地域に暮らすすべての人々の暮らし丸ごとを看て護るのが看護です。

看護によって人々の健康を護り、地域社会丸ごとの保健レベルの底上げが可能なら、ケアを受ける人もそれを担当する私どもともども一体となった健やかなコミュニティつくり、街造りに貢献できるよう「晴」一同は、引き続き、働きかけてまいります。

春爛漫の岡山、「晴」にもお立ちより下さい。

文責 赤瀬佳代