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リーベン(エチオピア)

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私が治療を始めたのは1966年。それからはデセ(エチオピア北部)で物ごいをして暮らしていた。32年も物ごいをして、自分にはこれ以外の生き方はできないと思っていた。物ごいとは、誰からも人間として認められない生き方だ。地面に座り、歩いていく人に手を差し伸べる。最初は恥ずかしいし、情けないと思っていたが、そのうち何も感じないようになった。自分も何も感じないようになるが、前を通っていく人たちにとっても私は人間ではない。単なるそこにある存在でしかないのだ。物ごいを続けているうちに、自分に対する誇りを失ってしまった。変わりたいとは思うものの、自分にはその力も勇気もなかった。

3人いる子どもは、私が物ごいをしていることでいじめられもしたし、物ごいをしていることを恥じてもいて、口を利いてくれないこともあった。でもある日、エチオピア全国回復者組織のENAELP(現ENAPAL)の支部がこの町デセにできると聞き、自分も変わらなければならないと思った。

これ以外の生き方を知らなかった私にとっては、失敗への恐怖や不安はとても大きかった。新しいことをして失敗するよりは、慣れ親しんだ物ごいをしていけばいいのではないかと思わないこともなかった。しかし自分のため、子どものため、そして回復者全員のために変わろうと思った。自分が変われば、他の人にも変わることができると分かってもらえる。
物ごいで得たわずかな貯金でヤギを2頭買った。多い時には8頭飼っていたこともある。

今はENAPALのデセ支部の委員として働いている。その関係で役所に行ったりすることもある。人間として生きる喜びを感じている。

私も変わった。そして変わった私を見て、子どもたちも変わった。私のことを誇りに思うと言ってくれた。

リーベン:現在ENAPALのデセ支部の委員として熱心にボランティアで活動を続けるかたわら、店で働きながらヤギを育てている。

2005年の本人とのインタビューより。掲載に際して本人の許可を得ています。