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[中国]広東省園田村 定着村生活向上支援

中国広東省の定着村で、日本や韓国の学生を中心としたグループFIWC(Friends International Work Camps:フレンズ国際労働キャンプ)が2001年にワークキャンプを開始しました。これまで近隣の村人も足を踏み入れなかった定着村に寝泊まりし、水道延長工事や家屋の修繕など生活環境の改善につながる活動を行うキャンプを重ねています。回復者と共にあり、共に歩むという若者の姿は、長年の差別と偏見の結果、回復者やその家族が失っていた自信を取り戻し、周囲の村や社会が持っていた、定着村やそこに暮らす人たちに対する姿勢を変え始めました。

この活動は徐々に中国の学生の中でも広がり始め、2004年にはワークキャンプを通して中国のハンセン病問題と取り組むためのNGO、JIA(Joy in Action:家)が誕生しました。JIAは現在では広東省、広西省、湖南省、湖北省、海南省で、社会に変化をもたらしています。

広東省園田村は、湛江市でハンセン病と診断された人たちを隔離するために、1958年に開設された療養所の居住区が転じて定着村となった村です。1960~1970年代には500人を超える人たちが暮らしていましたが、1980年代に入り、中国でもハンセン病が外来治療へと切り替わってから、この村に暮らす人の数は減少し続けています。故郷に帰ることができない高齢者や、重度の障がいを持つ人たちは、園田村を出ることはなく、ここで暮らしています。2006年には128人が暮らしていました。

村の回復者は少額の生活補助金を受け取っていますが、この補助金から生活費だけではなく医療費も含めて捻出しなければならず、生活は非常に厳しいものでした。JIAが園田村でミニキャンプを開催したところ、家屋の数が十分でないため、何世帯かが小さな家屋を共同で使わなくてはならない。風呂場が少ないため十分に入浴できない。厨房設備が不十分で調理が難しい。トイレが村の両端に2カ所あるのみで、場所も非常に不便である。経済的な理由から教育を受けられない子どもがいる等々、村には多くの問題点があることが分かりました。

JIAでは、このうち使い勝手の良いトイレを便利な場所に建設することとし、日本と中国の学生総計28人が、8日間のワークキャンプを行い、トイレが完成しました。

「長いこと、偏見も差別も信じられないほど強かったんですよ。それこそちょっと考えられないくらいの偏見でね。でも最近になって周りの人の態度が変わってきたんです。特に2001年に学生のグループが私たちの村にやってくるようになってからは、明らかになりましたね。

この学生のグループがね、1年に何回か私たちの村を訪ねてくれるんですよ。村に泊まって、私たちと一緒に食事をして、私たちと一緒に買い物に行ってくれるんです。村の近くに住む人たちは、最初、こういう若い人たちが、私たち村の人間と一緒に手をつないで買い物に行くのを見た時には、それはそれはびっくりしていましたよ。だってそうでしょう。自分たちは何十年も、あの村は恐ろしい村だ、ハンセン病患者の住んでいる村だ、近づいちゃいけないんだって思いこんでいたのに、若い人たちが来てくれるんですからね。

それで、ある時ね、市場に行ったら、みんなよっぽどびっくりしたんでしょう。ぴたっと動きを止めて、口をあんぐり開けてね、私たちを見るんです。でも何回かこういうことがあって、だんだんと私たちの村の近くに住む人たちも分かってきたみたいです。ハンセン病って、そんなに恐ろしい病気じゃないんだなって。今では私たちの村の近くに住む人たちは、私たちを差別しません。

私はね、この頃になって考え方を改めました。ああ、希望は持ってみるものだなって。可能性に期待し始めました。もっともっと村に来てください。私たちに必要なのは、精神的な支えなんです」

これは、2001年から継続的にワークキャンプが行われた広東省の揚坑村の王鏡釗さんの言葉ですが、この言葉からも分かる通り、ワークキャンプを通して生活環境を向上させるという直接的な成果だけではありません。人と人との交流が始まることによってもたらされる社会の変化を推し進めるための、支援を続けています。

本プロジェクトは篤志家の方々からのご寄付により実施することができました。

期間2006年度
対象地域広東省園田村
協力先JIA(Joy in Action:家)