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第一期COVID-19ハンセン病コミュニティ支援活動報告:フィリピン(PGH HANSEN’S club)

笹川保健財団は、助成事業を通じてハンセン病への偏見・差別がなく、病に罹患した人が必要な治療やサービスを享受でき、ハンセン病が問題とならない社会の実現に向けて取り組んでいます。2020年はコロナ蔓延の一年となり、ハンセン病の患者・回復者やその家族らの生活はより厳しいものとなりました。そのため助成事業も、既存の支援に加えコロナ禍でのハンセン病コミュニティを支援するため、①直接的ニーズへの対応、②政府に対するアドボカシー、③積極的な情報発信を組み合わせた包括的な事業を実施しました。今回は、その第七弾として、フィリピンからのレポートをお届けします。

フィリピン 第一期 COVID-19ハンセン病コミュニティ支援活動報告⑦

フィリピンは西太平洋に位置しており、大小7,000を超える島々からなる自然豊かな国です。フィリピンは1998年に国レベルでのハンセン病の制圧目標(人口1万人当たりの患者数が1人未満)を達成しましたが、現在でも毎年2千人ほどの新規患者が確認されているハンセン病蔓延国のひとつです。また、ハンセン病患者、回復者およびその家族に対する偏見・差別が根強く残っているため、医療面と社会面における継続的な取り組みが必要です。

今回の支援先である、フィリピン総合病院ハンセンズクラブ(以下、PGH HANSEN’S club)は、ハンセン病に苦しむ患者のためのハンセン病当事者組織として、フィリピン総合病院皮膚科の提案により1999年に設立されました。その後、現地NGOであるPhilippines Leprosy Mission (以下、PLM)などの支援を受けて、マニラ首都圏を中心に、患者や回復者およびその家族を対象として、家庭訪問や経済自立プログラム、各種レクリエーションなどを行ってきました。現在、20名ほどのメンバーが熱心に活動しています。

支援活動が行われた2020年11月から翌年2月は、フィリピンにおいても他の国と同様に、コロナウイルス感染拡大防止の措置として、厳しいロックダウン(都市封鎖)や移動の制限が課されました。そのため、PGH HANSEN’S club内、また、サポート団体のPLMともオンラインで連絡を取り合いながら活動を進めることとなりました。

1)医薬品、セルフケア用品および支援金の支給

社会のなかで最も脆弱な立場であるハンセン病患者はコロナウイルス感染拡大の影響を強く受け、とりわけ仕事の喪失による家計への打撃は深刻でした。PGH HANSEN’S clubのリーダーたちは、早速PGH HANSEN’S clubのメンバー全員と連絡を取り、ロックダウンによる家計への影響や医療へのアクセス等に関するヒアリングを行いました。結果、多くのメンバーが収入を失っていることがわかり、食料や医薬品を購入するための支援金をメンバー全員に届けました。また、医療機関を受診できずに潰瘍が悪化しているメンバーに対しては、オンライン診療を勧め、処方された医薬品やセルフケア用品を届けました。

支援金で食料や衣料品を購入)

2)ヘルプ・ホットラインの開設

今回の活動では、気軽にPGH HANSEN’S clubのメンバーとリモートでハンセン病に関する質問などを相談できる「ヘルプ・ホットライン」の開設にも着手しました。リーダーの一人は、「このホットラインによって、病気を経験した自分たちだからこそ共有できる経験がある」と語っており、メンタルヘルスのサポートも期待されます。現在ハンセン病患者や回復者の多くは、より孤立を深めています。コロナ禍のため移動制限や医療の逼迫によって、保健センターに通えず相談もしにくい状況です。ハンセン病の診断を受けたある女性は、今後の治療への強い不安を吐露されました。メンバー間で経験を重ね、支援活動が終了した現在は一般の方からの相談を受け付けています。

コロナウイルス感染拡大はフィリピンでも今もなお続いています。コロナ禍にあっても回復者組織のリーダーたちは、各地域で関係者と協力しながら、活動を行っています。