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第一期COVID-19ハンセン病コミュニティ支援活動報告:ナイジェリア(IDEA Nigeria)

ナイジェリアはアフリカ最大の人口と最大規模のGDPを誇る国ですが、国民の所得格差は大きく、社会インフラやセーフティーネットが不十分であるため、貧困層は厳しい生活を強いられています。

ナイジェリアは2000年に国レベルでハンセン病の制圧を達成しましたが、未だに年間(2019年)のハンセン病の新規患者数が2424人、そのうち目に見える障害がある人が365人と深刻な問題を抱えています。またハンセン病に対する差別が厳しく、ハンセン病に罹ったために家族から見放され、スラムで物乞いをしながら生きる人もいるほどです。 新型コロナウイルスの流行はナイジェリアの全体に影響を及ぼしましたが、脆弱なハンセン病回復者にとっての影響は一層厳しく、これまで以上に生活に困窮するようになりました。

今回の支援活動は回復者組織であるIDEA (International Association for Integration Dignity and Economic Advancement)とその支援団体であるLTR(Leprosy and TB Relief Initiative Nigeria)によって、2020年11月から2021年2月までの4カ月間実施されました。IDEAは2003年の設立以来、ハンセン病の差別をなくすためのアドボカシー活動や障害予防の啓発活動を続けてきました。現在5871人が登録しています。LTRはハンセン病と結核の対策を行うNGOで、これまでIDEAと連携しながらナイジェリア保健省のハンセン病担当官の能力強化、ハンセン病病院への資金援助、車両の提供など様々な活動を実施してきました。

支援活動はバウチ州(北部)、カノ州(北西部)、プラトー州(中東部)で実施されました。4カ月の事業期間中、IDEAは、LTRの協力を得て、対象地域に住む回復者150人に食料(米、豆、穀物、塩)、衛生用品(マスク、消毒液)、セルフケアの用具(ボウル、石鹸)を支給しました。さらにコロナ禍で生計手段を失った回復者150人を選定し、養鶏や石鹸・ワセリン製造の職業訓練を行い、経済的な自立を支援しました。

セルフケアキットの支給 カノ州
職業訓練(石鹸製造)プラトー州

今回の支援によって非常に厳しい生活を強いられていた回復者は当面の食料品や衛生用品を得て尊厳のある生活が送れるようになりました。また、職業訓練の後、活動地の3州では、身につけた技術で養鶏と石鹸・ワセリン製造のビジネスが開始され、少額ながらも回復者が収入を得られるようになりました。本事業を通して、困難を切り抜け、回復する力(レジリエンス)をつけた彼ら彼女らは今後も互いに協力しながら、厳しい状況を乗り越えていくことが期待されます。