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ミャンマー初等中等教育

ミャンマーは、1998年にMDTを導入し、2003年に国レベルでハンセン病制圧目標(人口1万人当たり患者数が1人未満となること)を達成しました。しかし、ミャンマーは広い辺境地域と多くの少数民族を持つために、地域レベルでは、未達成の地域もあり、ハンセン病に伴う偏見・差別も根強く残っています。ハンセン病患者・回復者及びその家族は、そのような偏見・差別によりさまざまな困難・制約に直面しています。ハンセン病を親が患ったことから、貧困・偏見・差別により、その子どもたちが教育を受けられないこともあります。

教育支援を受けた子供たちが通う小学校にて

このような状況を踏まえ、2017年4月から2018年3月までミャンマー国内14か所のハンセン病の回復者とその家族たちが住む村(コロニー)において、ハンセン病患者・回復者の子供たちの教育状況改善のために、294人の子供たちへの教育支援をMAM(マム)(注1)を通じて行いました。具体的には、子どもたちの学費や制服代、文具費、昼食代を賄うための奨学金の付与です。294人のうち85人は小学生、154人は中学生、43人は高校生、12人は大学生でした。

 
小学校で給食のスープを食べている様子(給食は子供たちにとって貴重な栄養を得られるとともに、楽しいひとときです。)

この教育支援は、貧しいハンセン病患者・回復者が子どもたちを学校に通わせるきっかけとなり、子どもたちは定期的に学校に通えるようになりました。実際に支援をした村々では、例年15%程度の子供たちが学校を中途退学せざるをえなかったのですが、現在ではそれが5%となりました。

また、この教育支援によりこれらの村の子供たちの知識、態度、行動にも改善がみられ、教育支援を行った各地域において、ハンセン病回復者やその家族たちに対するイメージが向上したという波及効果もみられました。

注1:MAM(マム)は正式名をMyitta Arr Marn(ミャンマー語で「よりよい希望の力」)といい、2006年4月に元保健省職員が中心となってミャンマー初のハンセン病回復者のためのエンパワーメント・ワークショップが開催された際に、参加した回復者たちによって設立されたハンセン病回復者組織で、ハンセン病回復者の自立と尊厳の回復を目指して活動を続けています。ミャンマーにある14か所の全てのコロニーに支部(SUB-MAM)を立ち上げて、各地においてハンセン病患者や回復者に寄り添った支援を行っています。