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Sasakawa看護フェロー願書指導面談を実施しました

2023年留学を目指すSasakawa看護フェローは10名ほど。現在、アメリカ・カナダの大学院は出願シーズンです。

早い大学では12月1日が願書提出締切日というところも。各大学院プログラムの情報収集、出願者登録、TOEFL(英語力テスト)受験、願書執筆、推薦状の依頼等、多くが看護職として働くフェローたちは、仕事と出願準備の両立に奮闘中です。

アメリカ・カナダの大学院出願において、もっとも大学院側が重視すると言われているのが、願書(志望動機書、大学によって違いますが、Statement of Purpose等と呼ばれるもの)の内容です。指定された字数内で、なぜその大学院を目指すのか、その理由を、自らの経歴や強み、将来のキャリアゴールなどを交えて最大限にアピールする必要があります。

Sasakawa看護フェロープログラムでは、出願準備中のフェローと面談を行い、本人の希望進路などを一緒に確認していますが、その中で、志望動機が固まっていなかったり、逆にひとつのことに固執しすぎてしまっている人がいるように感じていました。

そこでこの度、文章や言語の専門家である因京子(ちなみ・きょうこ)先生にお願いし、希望するフェロー1人ひとりと90分ずつの面談を行い、各自が持参した志望動機書のドラフトを確認いただく機会を設けました。

因先生は、ご自身もアメリカの大学院で教育を受けられ、日本赤十字九州国際看護大学で教鞭をとられたご経験もあることから、本フェロープログラムの趣旨をご理解いただいています。

本来、Sasakawa看護フェロープログラムでは、出願プロセスはすべてフェロー各人が行うこととしています。

そのため、願書の指導をいただくということは、事業開始以来初めての試みでしたが、2日間で計6名のフェローと面談をしていただき、それぞれに対し、単に文章の書き方に留まらず、彼女たちの将来のゴール設定や考え方に対し、真摯なアドバイスをいただきました。

フェローに対し真摯に指導くださる因先生

因先生の各フェローへのメッセージは一貫して、本プログラムのねらいを伝えてくださっていました。

それは、「あなたが何をしたいのかだけではなく、日本の社会、医療・看護界に対して何ができるかを考えなさい」ということです。

それぞれが、自らの関心分野について追究することを否定するわけではありませんが、それが将来、どのようにこの日本社会を良い方に変えることにつながるのか、看護職としての自分たちのできること、強みは何か。フェローとなったからには、それを使命として考え続けるよう、ご指導いただきました。

以下は指導を受けたフェローたちからの感想です。


「どうして⾃分の⽂章がわかりにくくなるのかを振り返った時に、読者抜きの独りよがりな⽂章を書いていたからだと気付いた。書くことを⾃分の思考を整理するためだけに⽤いて、他者の理解を促すことを意図していなかったと反省した。」


「⾃⾝の不明瞭な点や将来どのような専⾨家となりたいか、博⼠課程での学びがどのように⽣かされるのかを
認識することが出来た。」


「⾃分の経験の範囲で既にわかりきっていることを述べて、圧倒的に知識が不⾜しているという点から逃げていたように思う。他者に情報を与えてもらうのではなく、能動的に論⽂や書籍などから知識を獲得していくということを習慣づけていきたい。」


「看護は失敗が許されない実務であるが、研究は失敗が財産になる、という先⽣のお話が印象に残った。臨床経験を経て、正確に看護技術を提供する能⼒と同時に、『失敗していないと相⼿に思わせる⼒』が⾝についてしまったと感じている。進学してからそのことを⾒透かされて問題が浮き彫りになるよりも、今気づくことができて良かった。」


先生には引き続き、面談したフェローのフォローアップをいただける予定です。今回の指導が、出願書類を推敲するだけでなく、彼女たちが自らのキャリアゴールをより明確に描くための機会となることを願っています。